史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

「維新暗殺秘録」 平尾道雄著 河出文庫

2014年01月25日 | 書評
 「海援隊始末記」などの著書で知られる史学者平尾道雄氏の著作である。この本も古本屋で購入したもので、現在普通の書店では入手不可である。
 桜田門外に斃れた井伊直弼を始めとして、坂本龍馬、佐久間象山、大村益次郎といった著名人から、無名の犠牲者に至るまで、三十件の暗殺事件を収録している。
 この本を読むと、改めて幕末とは暗殺の時代であったと実感できる。今からわずか百五十年前、日本はテロが横行する、極めて危険な国であった。
 翻って現代日本は世界的に見ても平和で安全な国である。中東や中南米、ロシアで相継ぐテロ事件や強盗事件を報道で見るたび我々は顔をしかめるが、実は百五十年前、我が国はテロの国であった。暗殺は卑劣な行為であり、どう考えても正当化されるものではないが、時代が変革を経験するとき、避けて通れない試練なのかもしれない。
 なお、本書65ページで、鳥居志摩が要殺された壬生藩を(京都)と紹介しているのは、明らかな間違い。壬生藩は下野国(現・栃木県壬生町)の小藩である。


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