国鉄フライヤーズ

目指せカネ、ヒマ、若さ

DUBAIワールド破綻.... アイスランドと同じだ

2009-12-09 01:00:00 | 経済投資
前にも取り上げたデュバイ、今年の初めに政府系企業の危機が騒がれた後何カ月も
報道がなかった(9月25日ブログ)。
ネットでいろいろ検索したが、一般的なレベルでは全く引っかかってこなかったんです。

でも、やっぱり何も変わったわけでなくデュバイショックみたいなことになっちゃいましたね。
国の予算の1.5倍がデフォルトになりそうだという状況だったわけですが、
半年以上にわたって一部鉄道関連の問題以外報道がとだえていた。

今回の危機はサンクスギビングとイスラムの犠牲祭という恰好の日に発表された計画倒産?
だれかにジョーカーを渡す時間稼ぎだったんでしょうか。

大体において大学とか政府系年金基金とかが被害者になりやすいですね、こういう場合。
英国ロスチャイルド系の香港上海銀行は10月にデュバイ安全宣言をした。
こいつらは最も油断も隙もならない。

このデュバイ、まだデフォルトしたわけでなく、政府系のナヒール債権が12月14日に償還されないと
晴れて(?)デフォルトになる。

ナヒールはデュバイワールドの子会社でデュバイバブルの象徴です。
建設予定の住宅や商業施設は先送りになるが外国人の居住者も減り現存する物件も
空き家が増えている。

この国中東石油価格のベンチマークである「デュバイ原油」の名は有名だが実は石油は枯渇している。

つまり、脱石油ということで海外の投資を呼び込んで金融、観光立国を目指した。
9・11に端を発するアメリカの愛国法を危惧した中東マネーが流れ込みました。

猛スピードで砂漠に都市を作り上げたが拙速だったのか。
都市はたっぷり時間をかけて少しずつ作り上げるものという気がする。

ところが2007年に始まった大不況でおカネが逃げてしまいました。
米軍が撤退した後のアイスランドが外国からの借金で金融立国したがその後破綻したのと
同じパターンです。

英米の真似です。
破綻は本家より少し早く来た。

デュバイワールドは100%政府の子会社だが政府は債務保証はしないんだとか。
できないというか。
債務総額800億ドルはアルゼンチンのデフォルトと同じ。でも国の規模が全然違う。
債権者は政府系ということでなんとなく安心していたんですね。

そこへ行くと日本は世界最大の債権国。経済政策のための(国債発行の)原資はたっぷりある。
コストカットのパフォーマンスと旧大蔵頭の財務大臣では心もとない。
勇気ある次のステップを期待したいです。

さてデュバイ、中東オイルマネーを牛耳っているのが英国系の銀行です。
RBSが一番の債権者ということで欧州発の金融危機かと思われた。

ただこの国、アラブ首長国連合でお隣の大産油国アブダビが救済するかもということで安心感が
広がりつつある。
2月も100億ドルの政府債権をアブダビが引き受けた。

アブダビが今後どこまで尻拭いをするかは不明。
しかし、早くも世界の株価だけはデュバイショックを乗り越えたようだ。

いつか見た景色ですね。
日本のバブル崩壊時の武村さんもそうだがアメリカでも大暴落後の中間反騰では
「最悪期は脱した」という政府発表のオン・パレード。

そうなんでしょうか。
FRBの刷ったおカネがドルキャリーで新興国に流れ込んでいる。
いつか出口戦略が取られると巻き戻しが起こり新興国通貨はドルに対し切り下げられる。

借金がでかくなるんです。

いずれにせよ世界中で商業不動産が地獄を見るのはこれから。
その後に来るのは金融危機。

デュバイの次は東欧、バルト三国でしょうか。
ウクライナも鉄道会社がデフォルトした。

アジアではベトナム。
ドンの切り下げとその結果の輸入インフレに悩んでいる。
なんたって経済大国の中国はドルペッグでドル安は競争力を押し上げる。

もっとも輸出代金はドル建てだからアメリカに還流するわけですが。

周りの小国が厳しい競争にさらされ外貨準備が底をつく。
こういう国にとっては高止まりした石油価格は負担です。

北朝鮮は100対1のデノミで交換金額を制限し国民から政府がカネを収奪するまで困っている。
一定額を超えると1000対1でしか新通貨に交換してくれないんだと。

これも外資の引き揚げが原因でしょうか。
地下にもぐっているカネを全部無効にしてしまう。
地下経済以外何かありましたっけ、この国。

いずれにせよ政府というものは困り果てると権力を使って国民からカメを巻き上げ借金を
パーにするのが常套手段です。
覚えておこう。

逆に日本は円高。
世界不美人コンテストで選ばれないので円は強くなる。
で世界のデフレを輸入しちゃうわけです。
円高還元セールも始まってます。
人件費がまた圧迫される。

どこを見ても景気のいい国がない。
世界中が悪いというのが日本のバブル崩壊の時と違うんですね。

心配性の当ブログとしてはまたいやーな感じがしています。




付録(2月にデュバイ危機が表面化した時の田原さんの恥ずかしい?コメントーごめんなさい)。



2009年2月12日日経BP田原総一郎の「ここだけの話」 『不況の中、中東ドバイで感じたこと』

≪2月2日から5日まで、中東のドバイへ行ってきた。
 まったく僕の好奇心によるもので、仕事ではなくプライベートで行ってきた。

 ドバイというのは、石油によるふんだんな金で、砂の上に作られた“砂上の楼閣”とか“砂漠の蜃気楼”などと言われる。

 ニューヨークのマンハッタンのように超高層ビルが立ち並ぶ近代都市が現れた、などとも言われるが、マンハッタンとは違い、
魚の形をしたビルとか船の形をしたビルとか、色々な形をしたビルが立ち並ぶ。

贅(ぜい)を凝らした近代都市だ、と騒ぎ立てられた。

「30年前とは一変したドバイ」 それがこの数カ月、「砂漠の蜃気楼が消え去りそうだ」とか
「砂上の楼閣が崩壊寸前」だなどと言われている。

建設工事が皆ストップし、失業者が溢れ、贅を凝らした油による超近代都市が惨憺たる状態だ
、と新聞や雑誌では報道されている。 

一回この目で確かめたい、ということでドバイに行ってきた。
 まず、「行ってよかった」と思った。
情報とはいかに当てにならないものか、よくわかった。

日本の報道とは違い、ドバイは非常に活気にあふれた街で、マンハッタンのように超高層ビルが無数に立ち並んでいた。

 僕は、1977年の1月にドバイへ行ったことがある。約30年前のことだ。

 当時も、三菱商事や三井物産など商社の駐在員もいたが、ビルといえば唯一4、5階建てのホテルがあるだけで、
建物は皆平屋、超高層ビルなど一つもない砂漠だった。

 ドバイから2時間ほど走るとアブダビという首都に出る。

そこで初めて町並みというものが目に入るという、本当にただの砂漠だった。

 しかし、今回約30年ぶりに訪れると、超高層ビルが立ち並び、活気にあふれ、「砂上の楼閣が崩壊」、
「砂漠の蜃気楼は消滅した」などという情報は全くの誤りだということがわかった。

 ドバイの現在の人口は約120万。

そのうち現地の人は15、6万。残りの100万人以上が外国人だ。

特に白人が多い。ドバイに一番多い民族はイギリス人で、10万人以上いる。
 ドバイの多くの計画にはイギリス人が絡んでいると思われる。

 ドバイではいろいろな人に会った。

総領事館にも行ったし、東芝や三井物産など、現地で働くトップの人たちにも会ってきた。

 なぜマスコミはドバイの特別に暗いところばかり書くのか。

 確かに不況だから失業者もいる。
しかし、建物の建築が止まって放り出されているところなんてどこにもなく、「崩壊」といわれるほどの状況ではない。

スローダウンしているだけなのだ。 
さらに、ドバイは、石油を売って余った金で贅を凝らし、趣味でビルを建てたわけではない。

日本人としてうらやましいのは長期展望に立って様々な計画が進められていることだ。

「法人税ゼロ、所得税ゼロの経済特区」 ドバイには、フリーゾーンという経済特区のエリアがあり、世界中から約6500社の企業が来ている。

ドバイは何を目指しているのかというと、流通のハブを目指している。

 ドバイはアラビア半島の北東の端にあり、ヨーロッパと中東、アジア、アフリカをつなぐ、世界最大の経済圏の、流通の中核になろうとしているのだ。

 すでにドバイには世界最大の港が作られていて、24時間稼動している。
この港のそばには、滑走路5本の建設が進んでおり、24時間稼動の空港が作られている。 

すでに世界の企業が6500社来ていて、これはもっと増えていく。 
ドバイは、ドバイに集まる世界の企業に対しても、法人税ゼロ、所得税ゼロだ。
だからたくさん集まってくる。

世界的な不況によって、スローダウンしているところもあり、失業者が出ているところもあるが、様々な建設計画は進んでいる。
 「ドバイは、物流の中核、中心的拠点になろうとしている。」 
今回、僕も使ったエミレーツ航空という航空会社があるが、エミレーツとは首長国という意味だ。
このエミレーツ航空は、すでに61カ国102都市にネットワークを持っている。

 ドバイはすでにポスト石油を考えている。
そして、ポスト石油の世界の流通のハブになろうとしているのだ。

『「石油の国」で原子力発電を計画中』 面白いのは、ドバイに原子力開発の計画が出ていることだ。
 2017年に第一号の原子炉運転開始を目標にしている。

これを目指して日本からは東芝、日立、三菱がドバイに来ており、フランスの企業も来ている。
 ドバイだけでなく、アブダビ、サウジアラビアも原子力発電の計画が進んでいる。

なぜ産油国が原子力発電の開発に力を入れ始めたのかというと、彼らにとって、原油は「商品」であり、売るものだからだ。
原油は売って、自分の国の電力は原子力でまかなっていこうとしている。

 原子力を開発する技術者は日本とフランスが優れている。
だからここでは日本とフランスの戦いになっている。

 さらにもっとすごいのは、アラブ首長国連邦が太陽エネルギーもやろうとしていることだ。
砂漠なので太陽エネルギーはすごい。

 要するに、今までは石油をばんばん使っていたわけだが、それにはいずれ限界があるので、
原油は商品として使うことにして、原子力や太陽エネルギーで自国はまかなう。こういう戦略を立てている。

「ソルボンヌ大学もルーブル美術館もやってくる」 ドバイに関するこのような情報は日本にはほとんど入ってこない。
 世界最大のハブ空港とハブ港があり、着実に流通のハブを目指しているなどという情報はなく、
オイルマネーに浮かれて贅沢(ぜいたく)なことばかりやってきたのではないかというイメージがある。

しかしこのイメージはまったく違う。
 アラブ首長国連邦は、アブダビやドバイを中心とする首長国が統合してできた国だ。
首都のアブダビにはフランスのソルボンヌ大学の分校が開校した。
さらに、フランスのルーブル美術館は、アブダビに分館を作る。
そして今年の11月にF1の最終戦もアブダビで開催される。
フランスが国策として相当中東に 関与しようとしているのだろう。

 モロッコからイランまで含めた中東・北アフリカ経済圏は、世界最大の経済圏になろうとしている。
そして、ここにEUも入ってこようとしている。 
ドバイは、この世界最大の経済圏の流通の中核になろうとしている。

ドバイへの関与はイギリスが先行していた、フランスも遅ればせながらどんどん参加しようとしている。
イギリスとフランスが競っている状態だ。
日本もやろうとしているが、地理的に遠いこともあり弱い。

 そんな壮大な計画が進んでいるとは、実際にドバイに行くまで夢にも思っていなかった。
石油で余った金で贅沢三昧して勝手なビルを作っているのだというイメージだった。
しかしこれはまったく違った。

 日本から見ると中東というのは地の果てというイメージがあるが、逆に中東から見ると日本の方が地の果てなのだ。 
僕の持っていたイメージが大きく変わった。

ドバイをはじめ、中東には世界中の企業がやってきて、すさまじい競争を繰り広げている。 
その一つが先ほども触れた「代替エネルギープロジェクト」だ。
 二酸化炭素を排出せずに太陽光発電など再利用可能なエネルギーで都市全体をまかなう「マスダール・シティー(Masdar City)」
と名付けられた新都市の建設や、太陽熱発電パネルを敷き詰めた人工島を作る計画、
冷却の目的で太陽熱発電パネルを水に浮かべて発電する計画な ど、ドバイでは、様々な開発計画、建設が進められている。

『「郵政民営化に反対だった」などくだらないことばかり』
 ドバイには、ドバイに行っている日本の企業も含めて、前向きな将来の展望がある。
しかし、日本には大変だというばかりで前向きな展望が一つもない。

 国会では、麻生首相が「実は郵政民営化には反対だった」と言って、大臣たちは「賛成だった」と騒ぎ、
今度は首相が「4分社化を知っていた人はほとんどいない」などと言い出した。
くだらないことばかりやっている。

 アメリカへ行ってブッシュ大統領にインタビューをしたときも、共和党・民主党の両議員やエコノミスト、学者たちが
「自分ならアメリカの危機をこう 乗り越える」というポジティブな戦略を話すのが印象的だった。

そして、日本に帰ってくると「大変だ、大変だ」と言うばかりで、全く前向きで建設的な戦略が ないことに失望したが、
今回ドバイに行ってこれをまた感じた。 

帰国して、自民党の与謝野馨・経済財政政策担当大臣に会った。
僕は、今の自民党の中で彼が一番政治をわかっていて、一番力を持っていると思う。 

「サンデープロジェクト」で、僕が与謝野さんに「日本には大規模なハブ空港も港もない。
失業者があふれている。
今こそ大公共事業としてやるべきではないか」と言ったら、彼は「まことにいい意見だ」と言っていた。
 さらに僕が「ではそれを骨太の方針に入れられないか」と言ったら、「骨太の方針などと
言わずにすぐにやりたい」と与謝野さんは言っていた。

 日本人はポジティブな発想も戦略もない。
「大変だ、大変だ」と言って内に内にこもってしまっている。 
そういう意味では今回ドバイに行って非常に刺激を受け、よかったと思っている。





最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ハブ、ハブ! (はっちゃん)
2009-12-09 14:59:30
昔、業界用語でハブとかグリッドとか使っていたが、最近やたらこの言葉を聞く。蛇じゃあるまいし(笑)。日本がハブ空港やハブの港?を作るなら、30年くらい前に今のディズニー・ランドの辺りに作って欲しかった!東京~成田間でどれだけ時間をロスしたことか。遊園地は成田方面でもいい。でも、カジノすら作れず、モチカネや大企業からもっと税金を取って弱者救済に回せという人が増えているような国では所詮ムリだろう。

20年くらい前にはいつも夜中に暗いドバイ空港に着き、車でアブダビに向かっていた。Emirates CC が出来た頃。その後、ドバイのDuty Freeが大きくなったと聞いた。そして、貧しいサハリンから戻るとドバイは「別世界」に変貌していた。初めは完成予想図のCGかと思った(笑)。

東京湾に「夢のような島」はいらない!もう夢の島があるではないか。
返信する
ホントホント (taku)
2009-12-09 16:18:26
ずいぶん成田には通わされましたね。羽田か東京湾でもデズニーランドあたりに作ってくれれば大分東京も変わっていたはず。
川島正二郎の冨里が候補になり潰れたが成田になった。
浦安や木更津の海じゃあ利権にならない。
とんでもない話です。
成田にデズニーランドを移転してカジノもつくるのはいいアイディアかも。
賭博のアングラマネーを地上にもってくれば財政も助かるし楽しい。
ちゃちなパチンコで怪しい業界や1台100円のショバ代を取ってる警察の利権を国民に取り返すべきと思います。
返信する

コメントを投稿