東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

PIP

2012年11月09日 | インポート
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 PIPという手口でリストラする外資系の企業が横行している。現在のニューヨーク市長が創始者のブルームバークという経済通信社の事件では、裁判で解雇無効を勝ち取った。
 PIPは、パフォーマンス・インプルーブメント・プラン(成績改善計画)の略だが、その内容は到底達成が不可能なノルマを示してサインさせ、達成できなければ能力不足解雇という悪質な手口だ。
 被害者は、新聞労連の個人加盟組合に加入して団体交渉し、東京地裁に提訴した。判決は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠く」として解雇無効を勝ち取ったが、会社は控訴した。弁護団は、「法的にも道義的にも到底許されるものではない」と批判している。PDCAサイクル【Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)】をリストラに応用した手口だが、教員のキャリアプランも、このように悪用されてはならない。個人攻撃で個別に解雇を迫る手法が横行する中、労働組合の役割がいかに大きいか痛感する事件でもある。
          (一条の光)


福島の子どもたちにドングリを!

2012年11月08日 | インポート

Img_3606 福島県では、東京電力福島第一原発事故によって野山の自然物にも深刻な放射能汚染が広がっている。そのため、小学校の生活科・図工科の、秋の木の実を使った活動や野外活動など自然物を使った教育活動に支障が出ている。

 福島県の教職員組合から「秋の木の実」福島の子どもたちに贈るとりくみが提案された。
 子どもたちが安心して自然物を使った活動ができるようにするため、放射能汚染の影響のない地域から、ドングリ、マツボックリ、その他の木の実(日持ちする物に限定)を贈る。
 協力していただける方は、11月30日(金)までに東京教組に持参するか、福島県教組に直接送付していただけきたい。なお、どんぐりは幼虫が中にいる可能性があるので熱湯を通してくだい。
福島県教職員組合 
〒960-8534 福島県福島市上浜町10-38 

TEL024-522-6141 FAX024-521-5564


村長の誇り

2012年11月07日 | インポート
Dpp_0163 長野県上伊那郡中川村の村長、曽我逸郎さんは、電通社員のとき原発のPRはしたくないと電力会社担当を外してもらった経歴を持つ。電通を退職後、中川村に移住。2005年に村長になった。その中川村議会で今年6月「国旗と国歌について村長の認識は」という一般質問があったが、その答弁がいい。
 質問はこうだ、「小・中学校の入学式や、卒業式の席で、村長は(壇上に上る際、降りる際に)国旗に礼をされていないように思います。このことについて村長のお考えをお聞きしたい。」曽我村長の答弁を抜粋して紹介する。
「私は、日本を誇りにできる国、自慢できる国にしたいと熱望しています。日本人だけではなく、世界中の人々から尊敬され、愛される国になって欲しい。それはどのような国かというと、国民を大切にし、日本と外国の自然や文化を大切にし、外国の人々に対しても、貧困や搾取や抑圧や戦争や災害や病気などで苦しまないで済むように、できる限りの努力をする国です。海外の紛争・戦争に関しても、積極的に仲立ちをして、平和の維持・構築のために働く。災害への支援にも取り組む。たとえて言えば、日の丸が、赤十字や赤新月とならぶ、赤日輪とでもいうようなイメージになれば、と思います。
世界中の人々から敬愛され信頼される国となることが、安全保障にも繋がります。これは、私一人の個人的見解ではなく、既に55年以上も前から、日本国憲法の前文に明確に謳われています。」
「しかし、現状はまったく程遠いと言わざるを得ません。日本国は、名誉にかけて達成すると誓った理想と目的を、本気で目指したことが、一度でもあったのでしょうか。東京電力福島第一原発による災害では、国土も、世界に繋がる海も汚染させました。たくさんの子ども達が、かつての基準なら考えられない高汚染地域に放置されています。そしてまた、安全基準も確立しないまま、目先の経済を優先して、大飯原発の再稼動を急いでいます。放射性廃棄物をモンゴルに捨てようとしたり、原発の海外輸出まで模索しています。明治になって日本に組み入れられた琉球は、抑止力のためという本土の勝手な理屈で多くの米軍基地を押し付けられ、さらにまた美しい海岸をつぶして新たな米軍基地を造ろうとする動きがあります。イラク戦争に協力し、劣化ウラン弾で子どもたちが苦しめらることにも、日本は加担しました。兵器輸出の緩和さえ模索しています。」「もっと問題なのは、名誉にかけて誓った理想を足蹴にして気にもしない今の日本を、一部の人たちが、褒め称え全面的に肯定させようとしている点です。この人たちは、国旗や国歌に対する一定の態度を声高に要求し、人々をそれに従わせる空気を作り出そうとしています。声高に主張され、人々を従わせようとする空気に従うことこそが、日本の国の足を引っ張り、誇れる国から遠ざける元凶だと思います。人々を従わせようとする空気に抵抗することによって、日本という国はどうあるべきか、ひとりひとりが考えを表明し、自由に議論しあえる空気が生まれ、それによって日本は良い方向に動き出すことができるようになります。人々に同じ空気を強制して現状のままの日本を肯定させようとする風潮に対して、風穴を開け、誰もが考えを自由に表明しあい、あるべき日本、目指すべき日本を皆で模索しあうことによって、誇りにできる日本、世界から敬愛され信頼される日本が築かれる。日本を誇りにできる国、世界から敬愛される国にするために、頭ごなしに押しつけ型にはめようとする風潮があるうちは、国旗への一礼はなるべく控えようと考えております。」

その後、一問一答のやりとりが続く、
Q:村長は子供たちが国旗に礼をしないようになる方がいいと考えているのか?
A:教育内容について行政から口を挟むことは控えるべきだと考える。なにをどう教えるかは、教育委員会の管轄である。国旗に対して、どういう態度を取るべき、とか、取るべきでない、とか、これまでも申し上げたことはないし、今後も申し上げるつもりはない。
そして、新聞記者(信濃毎日新聞、長野日報)との取材でのやりとりでは、
Q:子どもたちには、どうあって欲しいと思っているのか?
A:いろいろな人がいて、いろいろな考え方があるのだな、と感じてもらえれば嬉しい。その上で、自分はどう考えるのか、じっくり検討して欲しい。こういう態度を取らねばならないと、ただひとつの形しか提示しないのは問題。型にはめようとするのはよくない。「まぁ、この場は空気を読んでこう振る舞うのが大人だし…」というような対応を積み重ねた結果、曾て、場の空気に絡め取られ戦争に向けて後戻りできない状況に陥り、後悔したのではなかったか。どういうものであれ、自分の感じ方、思いを気安く表明できる「空気」を創っていくことが大事。それによって、互いに議論が深まり、理想の日本、あるべき日本、目指すべき日本が模索され、その結果が皆に共有されていけば嬉しい。
 石原、橋下とは正反対。こんな村長のもとで働きたいと思う。都知事には、こういう人が立候補してほしいもんだ。
この答弁全文は、中川村の公式ホームページ村長からのメッセージに掲載されている。
          (霧ヶ峰高原の八島ヶ原湿原)



産む?働く?

2012年11月06日 | インポート

 先日、厚生労働省の社会・援護局長である村木厚子さんのお話を聞く機会があった。村木さんといえば、検察庁特捜部の「でっち上げ事件」に巻き込まれた方であるが、それはさておき、これからの日本が目指す社会について大変わかりやすく示唆に富んだお話だったので、その一部を紹介したい。
 さて、いきなりだがここでクイズを一問。Photo_2

 OECD加盟24か国の2000年のデータに、「女性の労働力率と合計特殊出生率の相関関係」を示したものがある。縦軸に合計特殊出生率をとり、横軸に女性の労働力率(15歳から64歳で就労してる割合)をとって各国のデータをポイントしていくとどうなるかということだ。選択肢は次の3つ。
ア)労働力が高いほど出生率も高い。(正相関)
イ)労働力率が低い国ほど出生率が高い。(逆相関)
ウ)特に相関関係はない。
さて、どうだろうか?予想を立ててから、次をお読みいただきたい。

 正解はなんとア)の「女性の労働力率が高いほど出生率も高い」ということなのだ。
日本の、一部の政治家が言う「女性の社会進出が進みすぎたから、出生率が下がった」は、世界では非常識となるということだ。

 では、もう一問!
この2000年のデータで、日本は労働力率・出生率ともに低い原点に近いエリア(グラフの左下)に位置している。OECD24か国の中で、日本よりも労働力率・出生率が低かった国が3か国あったのだが、それはどこかというのが問題である。
OECD24か国は次のとおりである。
・日本・オーストラリア・オーストリア・ベルギー・カナダ・デンマーク・フィンランド
・フランス・ドイツ・ギリシア・アイスランド・アイルランド・イタリア・韓国
・ルクセンブルク・オランダ・ニュージーランド・ノルウェー・ポルトガル・スペイン
・スウェーデン・スイス・イギリス・アメリカ

 答えはなんと、今話題の欧州の三か国、ギリシア・イタリア・スペインなのだ。
「うかうかしていればギリシアみたいになるぞ」と言われる日本が、なすべきことは何かを考えるとき、マスコミに登場するような評論家たちが描く処方箋と違った対策が見えてくる気がするではないか。女性の労働力率と出生率を上昇させるための対策がキーポイントなのである。

(グラフをクリックすると、鮮明なグラフを見ることができます。)


いろんな特性

2012年11月05日 | インポート

今日は神楽坂で一日学習会A

「障害」児教育研究集会(10/27)
みんなは「発達障害」って知ってる?
ADHDとかアスペルガーとか、教室の枠に収まらない子を「分類」する名称
このレッテルにより苦しんでる子どもはたくさんいます
俺は「発達障害」って言葉は大嫌い
「発達特性」でいいじゃん
成長には色んな形、スピードがある
なのに、椅子に座れない、勝手に喋るだけでOUT
色んな特性を持つ人がいてこその社会なのに…
お互いの特性を理解し尊重し合える教室でありたいし、そんな中で過ごすメリットは大きいと思う
僕らには、どんな人でも過ごしやすい社会を作る能力、環境調整能力が求められてる!
どんな子も過ごしやすい社会にしたいなぁ

(柿の木に訪れた野生のインコ)


高地戦

2012年11月02日 | インポート
Photo 韓国映画「高地戦」は、同じ民族が殺し合った朝鮮戦争を兵士の立場で描き切った秀作だ。「俺たちは敵と戦っているのではない、戦争と戦っている」や、高地の塹壕で二人だけ生き残り、かつて捕虜になった時「なぜ戦っているか知らないから負ける」と言った共和国の隊長に、なぜ戦っているか聞く韓国兵。『もうずいぶん前で忘れた』『クソ野郎』という会話など戦争の実相が台詞にも生きている。戦争は最悪であり、戦争を遂行する政治家や軍の指導者は、常に人民を見殺しにする事を如実に表現している。偏狭なナショナリズムによりかかる風潮があるなかで、実際に戦争に駆り出される若者に見てほしい映画だ。戦争の真実を今語れるのは韓国映画かもしれない。それだけ過酷な現実を韓国の若者は生きている。硫黄島の戦闘を描いたクリントイーストウッドの『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』も戦争の実相を明らかにする名作だったが、今の日本にこのような戦争映画が少ないことが残念だ。古い話になるが私にとっては『人間の条件』(五味川純平原作、小林 正樹監督)が記憶に残るぐらいである。
    (冬に備えるシマリス、十勝・清水町)



弁護士の遺言

2012年11月01日 | インポート

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 臨時国会の代表質問を聞いていて、中学生の生徒総会以下だなと感じた。いや、中学生に失礼かもしれない。台本の棒読み、相手を罵倒するときだけ声を荒げ、顔を上げる。小学生の学芸会のほうが上手だ。オット、これも小学生に失礼か。主権者としては、情けないやら、恥ずかしいやら・・・と思ったところで、次の小冊子を紹介する。

 「主権者」は誰かー原発事故から考えるー(日隈一雄著、岩波ブックレット)がそれだ。
 民主主義の闘士であり、原発報道などを通じてメディアの民主化に尽力した弁護士の日隈さんは、その志半ばでガンで病死した。余命幾ばくもない中でも彼は闘いの歩みを止めることなくこの本を書き上げ、6月12日他界した。その本の中で、日隈さんは、「主権者として振る舞うことができる5つの条件」を示している。

①自分たちのことについて判断するために、必要な情報を得られること
②情報に基づき、市民が代表者としてふさわしいと考える人物に投票できること
③国会で自由闊達な議論がおこなわれ、立法や政策に市民の意思が反映されること
④法律を執行する行政を監視するシステムがあること
⑤国民がみずから主権者として振る舞うための教育などがおこなわれること

 さて、⑤については私たち教職員の仕事だ。政治的リテラシーを学ぶ主権者教育、政治参加する市民の政治的判断力をつける教育が今、求められている。(イギリスではシティズンシッップ教育が2002年から実施され、オランダも盛んに行われている。9/26ブログ)
 また、日隈さんは、メディアリテラシー教育では「情報の判断と発信ができる市民をそだてること」を提言している。これも私たちの仕事だ。

 これらを彼の遺言として受け止めたい(合掌)。

                  (うろこ雲と八ヶ岳)