「家事労働ハラスメント」この言葉を使っているのは、女性問題で提起を続ける竹信三恵子さん。同名の著書(岩波新書)の前書きに「人間の一日は、どんな人にでも平等に 24時間しかない」のに、「家事に対価はいらない」(家事=無償労働)という古くからの考え方により、家事労働に従事する人を「貧困と生きづらさの中へと落とし込みかねない」と書いています。
日本社会のシステム自体がハラスメント
日本社会は、企業の在り方、社会保障制度、税制度を含むシステムそのものが家事労働の無視・軽視で成り立っています。さらに「家事労働は家族の元気を再生産する崇高な労働であり、賃金には代えられない」と言いながら、女性のみに育児や介護など家事労働負担を押しつけたうえ、外で働くならば長時間労働が当たり前という前提の中「自助努力」で働く、つまりハラスメントを社会システムが行っているという仕組みなのです。
保育労働や介護労働にも影響
その家事労働軽視・蔑視は、結果的に保育や介護などの職業的ケア労働者の賃金低下や非正規化にも影響を及ぼすという結果を生んでいます。「女性でもできる簡単で単純な仕事には、多くの対価を必要としない」という考えがその根にあるからです。それらをわかりやすい言葉で「家事労働ハラスメント」と言っているのです。私たちは女性の働く条件を良くするために活動していますが、女性労働の現場は厳しくなるばかり。根本にあるのがこの「家事ハラ」だったんだ、と納得。ハラスメント解消の社会的合意を、困難ではありますが作っていくことが急務です。
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