東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

黒塗りされた憲法

2015年11月06日 | 日記

 私たち公務員は、採用時に憲法を遵守する誓約書を書く。これは、憲法第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」に基づいている。
 ところが、日野市は、公用封筒に印刷された「日本国憲法の理念を守ろう」という文言を黒く塗りつぶし、市民らに発送していた。なんていうことだ、憲法違反も甚だしい。
 日野市は、古い封筒を使う際、現行型のデザインに合わせるためだったと釈明したが、釈明にもなっていない。当然、市民からの抗議が相次ぎ、大坪冬彦市長は公式ホームページで「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えた」と陳謝した。
 東京新聞によると、

 問題となったのは、長形3号の縦長の郵便用茶封筒で、大きな「日野市」の文字の左下に「憲法の理念を守ろう」の文言が印字されている。2010年度のモデルで、4月1日からの1年間、全庁的に使われた。
市によると、今年2月ごろ、用水路や公園の維持管理を担う「緑と清流課」で、使っていない10年度モデルが課内の段ボール箱に1000枚以上残っているのが見つかり、捨てずに利用することにした。
同月、現行モデルにはない憲法の文言を、黒いフェルトペンで塗りつぶし、同課の業務で、主に返信用封筒として市民らに郵送。このほか、封筒を貸した都市計画課からも、黒塗りされた二十枚が発送された。
緑と清流課の原正明課長は本紙の取材に、自身が指示したことを認めた上で、「現行モデルと見た目のデザインを合わせる必要があると判断した。封筒のデザインは、その時々で、発信したいメッセージやキャッチフレーズが変わるため定期的に変更している」と説明。憲法の文言が何年度から採用されたかは分からないが、長い間、印字されてきたという。
この文言は10年度モデルを最後に消えたが、その理由について市は「把握できない」としている。
この黒塗りされた封筒は今月に入っても使用され、受け取った人が問題視し、25日にインターネットに画像を投稿して拡散。市には抗議の電話やメールが50件近く届き「中立であるべき役所にあるまじき行為」などの批判が寄せられたという。
原課長は「当時は見た目のことばかり考えてしまい、短絡的だった。憲法の文言をあえて消す必要はなく、メッセージ性を持った行動と受け取られても仕方ない」と話し、手元に残った黒塗り封筒500枚は、全て処分する方針を示した。
市は30日午後4時すぎ、HPで経緯を掲載。この中で大坪市長は「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えて遺憾に思う。憲法をはじめとする法令順守は市政の基本であり、今後も揺るぎない」とコメントしている。

  「日本国憲法の理念を守ろう」のメッセージは、地方自治体として市民に呼びかける当然のものであり、憲法の理念を守るのは自治体の責務である。古い封筒が見つかり利用するのも血税を大切にする当然の行為である。日野市は、二重の憲法違反を犯したことになる。
 最近、日本国憲法の理念を守る主張をする講師を自治体が断る事件も起きているが、安倍政権が進める壊憲の動きに自治体が迎合した政治的偏向であり、看過できない。


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