東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

歴史から学ぶ「落第制」

2012年06月05日 | インポート

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 明治の小学生には進級試験があったことを玉木研二さん(毎日新聞専門編集委員)が毎日新聞(5/15)の「火論」で紹介している。
 進級できた子どもが平均30%台という地方の記録も残っている。学校間の成績比較も行われ、競争が過熱。進級できなかった(落第した)子どもが低学年にたまり、学校の児童分布がピラミッド型になってしまい、学校嫌いや不登校が増加した。
 そこで、文部省は1900年(明治33年)進級試験の廃止に踏み切る。
 理由は、「試験前一時に過度の勉強で心身の発育を害し、試験のために勉強するという悪習に染まる」のを避けるためとした。
 「明治の進級試験制は多くの子供を追い詰め、学校嫌いの不登校を生んだ。今、確かに学力指導にはもっと工夫も厳しさも必要だろう。一方で、子供の成長ももっと多面的に見たい。小中学校での留年という手段は、結局「切り捨て」になるしかないと明治の経験は教える。」と玉木さんは結んでいる。
 歴史から学ばぬ政治家が、思いつきで教育介入することが横行しているが、その被害者は子どもたちである。

            (空木・ウノハナ)