富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

国内市場の内需には限界<<

2016年05月06日 | Weblog

TMA講師代表:個人研究

このところ「地方創成」という言葉が消えかけてきた。それに代わる「一億総活躍社会」もすでに死語になりかけている。人口減の国内の市場にだけ目を向けておれば、マイナスがマイナスを呼び込む負の連鎖から逃れられない。地域の人口を増やそうにも、域内の総生産には限界があるから、県全体が「限界型の県政」となるのは必至である。

こうした手づまりを打開するには、どうしても富山の企業が海外市場での供給拠点を拡張していかなくてはならない。県内での内需の拡大を目指すにも、トヤマの場合は、滞在型の観光拠点が一年間、持続的に維持できない。立山の観光も、黒部峡谷も地域限定、五箇山もキャパシティが小さい形で均衡する。だから、観光立県は無理である。むろん、地域型の観光により中高年の地域の遊休労働を活性化することは、それなりに必要である。

そこで、どうしても海外に販路をもつ製造業の発展に、老後の安泰な生活基盤のもととなる原資を求めなくてはならない。そのようなビジネスモデルの典型が、YKKさんである。「黒部事業所でしか製造されない機械」を用いて、海外の需要家の工場の隣接地で、「サプライヤー」として最終製品を完成させ、納品するというビジネス・モデルである。

ある種の自然現象として、ベトナムにも富山村が、タイにも富山村ができるそうである。これは、海外進出した企業の海外駐在の社員の望郷の思いがそうさせるのかも知れない。これは、中華人の世界でも共通の現象が古くからある。「客桟」といって、ホテル業・倉庫業・両替業・交通手配などを、全て郷土人のためにやるビジネス拠点である。だから、広東商人は、全世界のこのネットワークを広げている。寧波商人は、海運業の強く、世界の港町の同郷人のためにサービスをする「客桟」、今ではホテルを持っている。中国国内でも、有力な省政府は、主要都市に「福建会館」とか、「江西会館」とか、招待所のネットワークをもっている。

地域経済がグローバル化している以上、富山市とか、射水市などの基層自治体の経営のほかに、政策官庁としての富山県は、まず、総合的な工業会の組織に再編し、同時に、特にアメリカの各地に「トヤマ村」のネット・ワークを確立する必要があると思われる。当然、県立大学も国立では不可能な、海外分校を構想する段階にきている。公立大学法人は、株式会社方式で、私立のセクターを経営し、海外分校を創ることが可能である。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 富山の優良企業:スギノマシ... | トップ | 環日本海主義は22世紀の課題... »
最新の画像もっと見る