弦楽器におけるいわゆるエフェクターの種類に「イコライザー」「コンプレッサー」
「プリアンプ」などと言う、主に原音を整える効果を生む機材がある。
で、そのエフェクターと言う物にはつなぐ順番は特に決まっていない。
決まっていないんだけど、一応、「この方がいいですよ」と言うつなぎ順は
当然ある。例えばディストーションなどの歪み系と、リバーブ、ディレイ、
コーラスなどの空間系なら、普通は歪み系が最初でその後ろに空間系を
つなぐ。歪んだ音を残響させるのか、残響した音を歪ませるのかで効果が
違ってくるからで、普通は歪み→空間の方がいい。
で、前途したコンプ、EQ、プリアンプなどの「原音を作る」ためのEFはなかなか
難しい。難しくはないけど迷うね。
考え方としては、楽器から最初にコンプで音を整えて、好きな音色や、あるいは
音量をレベルアップして、次のディストーション系につなぐと、ディストーションの
ノリ(効果)が良くなると言う利点がある。
ただ、コンプでレベルを整えた音をもう一度違うEFでいじるので、レベルの平均化の
目的は多少薄まる。
レベルの平均化を目的にするならコンプは一番最後にいれるべきだろう。
きつめにかければリミッターと同様、「これ以上レベルは特出しない」って言う
保険になるね。
EQも考え方は同じで、先にかけて「周波数を調整した音をエフェクトする」のか、
「エフェクトされた音の周波数を調整する」のかで、当然結果は変わる。
例えばギターの場合、EQで100hzあたりのローをブーストしたあとで、
ディストーションに入れればローがブーストされて入力されるので、低域が
一番歪んでブーミーになると思われる。
逆に歪んだ音にEQでローをブーストすれば、歪み量は同じまま、ローが
持ち上がることになる。
こういうことを考えてEFは組まないといけない。
大体、ピーピーとハウリングばかりおこしているギターは単に歪みEFのゲイン(入力)が
高すぎる場合がほとんど。「ゲインは10時くらいで高くないんですけど・・・」とか言うけど、
その前にEQだのバッファだのブースターだのかまして、レベルが凄く高い状態で、歪みEFに
入力されているんだから、10時にしようが9時にしようが歪むよ。ツマミの位置でなく、
「どのくらいの大きさで入力されているのか」を気にしよう。
ちなみにベースで必需品とされているコンプレッサーなんだけど、俺も色々試しては
見るんだけど、結局最終的に外す(苦笑)。なんつーか、当然音を平均化するわけで、
「ここでアクセントで大きく弾こう」と言った場合も平均化されちゃう(笑)。
ま、アタックを逃がしてやるやり方もあるけど、やや不自然になるし、そもそもアタックを
逃がしちゃうんじゃコンプの意味があまりない。
ただ、コンプを軽くかけることによって音の平均化よりも音色の変化を狙う場合もある。
「通すだけで音が太くなる」とかね。
ま、コンプって万能に思われてるけどさ、そうでもないよ。弾き方にムラがある人は、
やっぱりそういう音になるよ。多少は緩和されるけど。多少な。
∞に設定しても強く弾けばやっぱりそういう音になるよ。
そういう意味ではリミッターの方がかかりは強い。コンプの圧縮率とかアタック調整が
ないだけで強制的に最速でつぶして絶対にそれ以上の音量で出さないってことだからね。
ただ、例えばギターに関して言えばコンプ系は必要ないな。
あ、いや、完全クリーンなんかはアタックを揃えるのに使ってもいいな。
独自のパコパコ、ペキペキした音を狙ってもいいしね。サスティーンも伸びるし、
フュージョン系には相性がいい。
ロックなどの歪み系だな。大体歪み系EFで、すでに頭はつぶされて歪んでいるわけで、
サスティーンも増幅されている。あまり無理にコンプを入れる必要性は感じないんだけどな。
理論上ってことだよ。EFって不思議で、理論上おかしいんだけど、なぜか入れると好みの
音になるって場合もあるので、結局はルールはないのだ。
ちなみにアンプってやつもその中である種のコンプレッサーが効いているし、ライブハウス
などの卓がある場合は卓で必ずかかっている。