パリの一般食堂で古くから底辺労働者に提供していたと言う「腹持ちが良く温まる廉価のオニオンスープ」をとある番組で見て記憶していたのだが、この猛暑下蟄居続きでは活動度が低下して堪らん。なんとか室内で出来る事と言えばソーイングか台所に立ってのおさんどん、つまりは「おっさん丼」の主夫業しか思い出せないのであった。しかしソーイングはリフォームも含め5月6月で20着以上拵えてみたものの、着用してもらったのは半数未満で、世代感覚の差に歴然とぶち当たり傷心のまま熟暑の夏を迎えたが今度は暑すぎて身の置き所の無い閉門蟄居の身になってしもうたのだ。そう言えば下総、いいえ上総でも無い房総の先っぽに真夏日なんて「無い」街があるとの事だったが移住を考える立場にはない姥捨て山の棄人だ。とは言え、生まれも育ちも由緒正しい南魚沼の雅な米作農家が出自の貴人だったはずが今では奇人変人の類いになって行く行くは鬼神だろうか⁉。
で結局、今夏は窓を開放することなく初めてエアコンを使う羽目に至ったけれど閉塞感がある。しばらくは映画を見る事で済ませたものの、いつまでも続く訳も無し。木工工作も密閉した室内では粉塵で不健康だし、結局はキッチンに立って暇つぶしをするしかないのであった。その目標「オニオンスープ」は暑い時期の一品とは思ってはいないけれど「夏のエネルギー補給」に適う一品とも思えたので意を決してキッチンに立ったのである。まあ、どうしてもそうならない物もあるのだが思い起こすまでも無く童謡にあったなあ…赤い玉小玉 なぜなぜ赤い 赤いまま飛んだ・・・。
さてさて、それはさておき買い物に行きたい様な気温ではないのでありあわせの材料で用意した。レシピはネットで如何様にでも探せるけれど、今回は通常通りの「いい加減レシピ」である。柱は「こんなもんか⁉」と材料を揃えたけれど作る途上で足し算引き算は当たり前、今回も写真には入らなかった味噌と黒コショウと南高梅蜂蜜漬けを隠し味に入れた。オニオンスープの勘所はカレーの玉ねぎと同じように焦げるくらいに炒めるのが美味しさの要と信じていても8割程度の炒めなので不十分だけれど我慢できない性分が出てしまった。今回の量は「一皿で二食美味しい」とばかり、夕食と朝食用にとのつもりだったけれど結局は完食してしまい、明朝は主夫をやらざるを得なくなった。
材料をグラタン皿に載せて200℃12分で完成。味噌の味と南高梅蜂蜜漬けが猛暑向きで黒コショウはあまり効いていなかった。オニオンスープは廉価であるとともに固いフランスパンや黒パンを食べやすくするスープであったとの事だけれど、やはり食パンでは軟らかくて軟食調である。やはりカリカリパンの方が美味しいと感じるだろう。お腹いっぱいになる前に次の腹案が溜まっている。この猛暑下ではフイールドに行ける訳も無し。で、孤爺はキッチンに立つのだが勿論、きちんとはやらないのであった!。