東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2020年12月10日 | Weblog
 山高きがゆえに貴(たっと)からず、樹(き)あるをもって貴しとなす」。寺子屋の道徳の教科書であった『実語教(じつごきょう)』の一節はよく知られている。山は高さではない、豊かに樹木を茂らせていることに価値があると説き、人もそう、外見ではないと続く▼同じ山でも世界最高峰となれば、話はちょっと違う。高さは大事らしい。中国とネパールは両国にまたがるエベレスト(中国名チョモランマ)の標高が八、八四八・八六メートルとなると発表した。広く知られた標高から八十六センチ高い。正しい標高をめぐる長い論争が、これで決着するかもしれないという▼大地震などで、標高に変化が起きているのではないかという見方もあったようだ。最新の機材などを使った両国の測定の成果であるという▼そもそもこれほどの山は正確に高さを測るのが難しいそうだ。古くは十九世紀のインドのほか中国、米国、イタリア隊などがそれぞれ測定し、それぞれの標高があったが、手法や精度などをめぐって論争は絶えなかった▼今回はネパールが国の威信をかけて挑み、初めて測量している。山頂に測量の機材を持った技術者を送り込んだ。欧米メディアによると、一人が凍傷で足の指を失うほど過酷だった▼独自の再測量をした中国への反発も表面化していたが、共同の発表となった。多くの努力の木を茂らせて、八十六センチの高さ以上に山の貴さは増したようだ。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿