包丁のトギノン ブログ

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包丁の取り扱いでしてほしくないこと1

2017-07-20 | 包丁について(総合)
包丁の取り扱いでしてほしくないこと1

包丁の取り扱いでしてほしくないことを記したいと思います。
今回は洗浄について記します。

基本、包丁は洗わないでください。

???

と思われた方も多いかと思います。
厳密にいうと洗ってもいいのですが、「丸洗い」はしないでほしいのです。
その理由は以下のようなものがあります。

■漂白剤に漬け置き洗いは好ましくない。

お客様の中には漂白剤に漬け置き洗いをされる方がいらっしゃいます。
そんな人いないよと思われるかと思いますが、弊社での包丁修理などの依頼経験からいっても実は結構いらっしゃるんです。
おそらく、消毒効果を狙ってそうされる方が多いのですが基本NGです。
洗剤メーカーの商品の裏書きにも消毒効果を狙ってそのようなことを記載されている商品がございますが、はっきり言って作り手としてはやめていただきたい。

まず、漂白剤の成分から考えてみましょう。
漂白剤は「塩素系」「酸素系」と大きく分けて2つの種類があります。
2つとも強い消毒・漂白の作用がありますが、これは薬品による酸化するものだとお考えください。
では、その酸化の何がまずいのでしょうか?
包丁は概ね金属でできています。(セラミック製もありますが)
ハガネの物は酸化を防ぐ保護膜が無いのですぐ錆びてしまいます。
ステンレスの物でも刃物に使われる鋼材は錆が発生することがあります。(保護膜による抑制で錆びにくいだけ)
これはスプーンやフォークなどと違い、熱処理加工によって硬度が増す刃物鋼材は高炭素。だから漂白剤の酸化作用で錆が発生するのです。
ステンレスの刃物は通常錆びにくいです。これはステンレスは空気に触れることで「不動態」という保護膜を形成しているに他なりません。
この不動態があることで酸化しにくくなり錆の発生を抑え込んでいます。
しかし、漂白剤はこの不動態を破壊してしまいます。僅かならよいのですが、漬け置き洗いとなると話は変わります。
錆を抑制する不動態が破壊され、そこから錆を誘発させてしまいます。
良く切れる高級ステンレス刃物(高炭素)のものほどこの傾向は強いので注意が必要です。
シンクやスプーン、フォークなどは高炭素ではないので通常濃度であれば問題ありません。洗剤メーカーの商品の裏書きのとおりお使いいただいてOKです。

しかし、漂白剤を使用した場合水で洗い流してから乾拭きしてくださいね。
なぜなら、漂白剤が付いたまま乾燥すると最後に乾いたところの漂白剤濃度が非常に高くなっていますので大丈夫と思っていても思わぬ不具合が起きる可能性がありますので。

まだまだ続きがあります。
続きは次回に記します。
それではまた。

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