*このトランプ発言の収集は有り難い、意見は削除しました、
米ウォール街で「トランプ大統領」リスクが熱く議論され始めた。特に、ドナルド・トランプ氏が、早朝のテレビ・人気経済番組の電話インタビューに応じたときのコメントが注目されている。
「イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は更迭する。彼女に個人的に恨みがあるわけではない。有能な人物だと思う。だが、共和党ではない」
さらに、金融政策については「私は低金利人間だ」と語り、「low-interest-rate-person」という言い回しが、はやり言葉のごとく拡散している。
「経済では債務が問題視されるが、私は借金の王様=king of debtだ。だから、金利上昇の悪影響は分かっている。しかも、ドル高になるのが問題だ。ドル高は大規模破壊をもたらす。中国は為替切り下げの名人で、ドルが上がると大喜びだ」
*トランプ氏は不動産大手で自分の金で事業するワケじゃない、事業資金は全て借金だ、事業の一部が支払い不能になって倒産した経験もある、
「今や規制が強すぎる。金融当局が銀行を経営しているような状態だ。ドッド・フランク法(金融規制改革法)は撤廃すべし。さらに、企業も含め大幅減税すべし」
特に、ドッド・フランク法の影響で、銀行のリストラが強化され、解雇の嵐に見舞われているので、こういう発言は、金融関係者をくすぐる。その結果、経済界で、トランプ支持派が筆者の想定より増えている印象を受けている。
実際話してみても、トランプ氏というだけで拒否症状を露わにする市場関係者が多いことは間違いないが、背に腹は変えられずトランプ支持にまわる人たちも少なくはない。
「私のビジネスが良くなるのなら、悪魔とでも一緒に働くよ」「減税や積極財政を打ち出せば、株は上がるかも」といったドライなコメントが印象的だった。
円高について「君たち日本にとって都合の悪いことは、米国にとって都合良いこと」と、はっきり言われたこともある。
では、ヒラリー・クリントン氏の評価はどうなのか。
3日のインディアナ州予備選で、バーニー・サンダース氏に負ける番狂わせとなったことで、左寄りのスタンスを強めていることもあり、ウォール街での人気もいま一つだ。ヒラリー氏=体制派という安心感は薄く、相対的にトランプ氏が浮上しがちな情勢である。
*豊島逸夫*日経有料会員配信
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。
豊島逸夫