NECは、中期経営計画の注力領域であるスマートエネルギー事業の中核となる蓄電システム事業強化のため、中国の自動車部品大手、万向集団グループ・米、A123 Systems社の電力会社向けおよび企業向け大規模・大容量蓄電システムのシステムインテグレーション(SI)事業部門(A123 Energy Solutions)を買収します。
買収金額は約1億米ドルで、6月からNECのもと新会社「NEC エナジーソリューションズ」として、事業を開始する予定です。
*同事業の2013年の売上高は3200万ドル(約32億円)。開発投資が先行して営業利益は赤字だが、販売拡大で早期に利益確保を目指す。
*NECはこれまで家庭用や電気自動車向けなど小型の蓄電システム事業を手掛けており、売上高は14年3月期で335億円の見通し。今回の買収で新たに大型蓄電の事業を手にする。まずは買収先の北米の販路を中心に事業を拡大。大型蓄電システム事業のみで、20年3月期までに売上高1000億円を目指す。
*発電所向けなどの大型蓄電システムは家庭用の小型蓄電システムの400世帯分の大きさ。一般に風力や太陽光などは気候の変動に電力供給が左右されやすい。余剰電力をためておき、不足するときに供給を増やす設備として、リチウムイオン電池などの蓄電システムが効果的とされる。NECによると、大型蓄電システムの20年の世界の市場規模は15年の3倍の6000億円になると予想する。矢野経済研究所は日本国内の大小合わせた蓄電池全体の将来の需要について、容量計算で20年に12年の16倍の1万1500メガワットに到達すると予測している。
本買収によりNECは、電力会社向け蓄電システム事業で世界トップクラスとなり、顧客のニーズにあったシステムを構築するA123 Energy Solutionsの蓄電SI力と、NECのICTにおけるグローバルかつ総合的なSI力やリチウムイオン電池のコスト競争力を組み合わせることで、蓄電システム事業を強化します。
また、A123 Energy Solutionsが持つ電力会社および企業の顧客基盤とNECの通信事業者、企業、官公庁などの顧客基盤を融合することにより、スマートエネルギー事業の広範かつグローバルな展開を強力に推進します。
NECは今後も、再生可能エネルギー導入による発電量変動の解決などのため、エネルギーソリューションの提供や新たなエネルギーサービス事業の創出に努め、より強固で安定したエネルギーインフラの実現に貢献していきます、
A123 Energy Solutionsについて
A123 Energy Solutionsは、A123 Systems社独自の正極材「Nanophosphate(R)」を用いたコスト競争力の高い蓄電池や、蓄電技術・制御・設備を含めたパッケージ提供で実績のある電力会社向け蓄電システム「Grid Storage Solution (GSS)」によるSI技術、および顧客の課題を解決する優れたシステム提案力を有しています。また、電力インフラのノウハウに精通した優秀な人材と、電力事業者をはじめ、世界で11社、出力110MW以上となる世界トップクラスのシステム納入実績も有しています。
NECは、 A123 Energy Solutionsを統合することで、電力会社向けの大規模蓄電システムを構築するSI力、およびすでに北米、欧州を始め世界各地の大手電力事業者に蓄電システムを提供する強固な顧客基盤を獲得し、本事業を急速に拡大していきます。
なお、中国市場については、万向集団と共同で企画合弁会社を設立し大規模蓄電システム事業を開拓します。
これらによりNECは、今後、北米、欧州を始め世界各地の大手電力事業者の蓄電システム構築だけでなく、クラウド基盤などICTと大規模蓄電システムを連携させた次世代のエネルギーサービスをグローバルに創出し、新たな事業機会を拡大していきます。