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古河市・江口長沖窯跡 県内初、半地下式平窯跡2基を発見

2010年02月03日 | Weblog
 市教育委員会文化課は2日、発掘調査を行なっている江口長沖(ながおき)窯跡(同市江口)で、9世紀後半の平地に半地下式で作られた須恵器を焼く窯跡を県内で初めて確認し、報道陣に公開した。同窯跡は市内の「三和窯跡群」の5か所目の遺跡。
 1000度以上の高温で焼き上げる須恵器の窯は通常、斜面を利用した登り窯が多く、半地下式は関東では3件が確認されているが全国的にも珍しい。
 半地下式は大量生産には不向きであるが、火を扱う技術が向上したことにより少ない燃料で製作できるようになったとみている。
 窯跡は2基あり、燃焼室と焼成室が一体となっている。作業場にあたる前庭部や須恵器を焼き上げる焼成室が半地下にあり、焼成室の壁が内側にカーブしていることから、天井がドーム状だったとみられる。大きさは、それぞれ長さ2~3m、幅1.6~3.2m、深さ30~60cm。壁が内側に傾いていることから、いずれも同じ場所に2回作られた跡があり、1基は窯の向きが大きく変わっていた。千度近い高温で焼けた赤い土も残っていた。
 周辺からは、須恵器の台付き皿や坏(つき)、甕などの破片が1000個以上発見された。当時、発見場所の近くには、現在の常総市付近まで鬼怒川や利根川につながる大きな沼があり、焼き物を焼くにはあまり適さない環境だった。周辺の窯跡などを含めた三和窯跡群で作られた須恵器は、栃木県小山市、埼玉県春日部市、千葉県我孫子市などでも確認されており、沼を利用し流通に便利だったのではとみている。
 今月中旬までに調査を終えた後、窯跡は埋め戻される予定。
 6日午前10時半、午後1時半から現地説明会が開かれる。
[参考:茨城新聞、東京新聞、読売新聞]
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