カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

龍のひげ

2013年09月19日 | 京都
「未知との、遭遇。」

上質な白ワインと日本酒の爽やかな風味というのは、とてもよく似通っている、そう感じられるのと同じように、実は、好い物であると感じられる料理の風味、其の多くはおよそ世界共通であると言っていい、様々な地域的特色、そして軋轢があってさえ、そう信じるべきだと個人的には考え、思い、願う。

国境などというものが、何処まで行っても只ひたすら思惑にまみれた人為的なものでしかないように、当然のこと、能力として根源的には人の味覚に大した差異などない、状況と経験に僅かの違いはあれども、人類が人類である以上、皆がわかり合える素地というものを万人が持ち合わせていない筈がない、其れこそが、基本的には差別のない、平等な人の見方である。

幾分か回りくどい話ではあるけれど、故に、何であれ、其のような見識をあえて体現しようとする根源的な姿に、勿論のこと否定的であるべきではない。

とりあえず、フレンチと京懐石の融合と銘打ってはあるものの、既に此れらの料理は其のどちらでもない、素材を丹念に裏漉しし、其の風味を掛け合わせ、原形をも留めぬ其の外見、味の予測がつかない其の料理を前にして何を想うか其れは人それぞれではあるけれど、個人的には、安易ながら、宇宙食という言葉を連想させられた、しかも其れというのは、味わう為の料理として、あまりにレベルの高い流動食である、人類がこの先、宇宙に進出することになった暁に、此のような宇宙食を日々戴くことが出来るのなら、其の未来というのは、どんなに素晴らしい食生活であることだろうか。

と、其のような妄想は兎も角、此処最近、評判の本格フランス料理店に行って戴いたコース料理というものに、何処か満足行っていない己に気付かされた身としては、当初から何品来ても、凝った繊細な前菜ばかりのように感じられる此のコースというのは、一品毎に小さな驚きと納得、其の連続と、結果的に大きな満足を久方振りに与えてくれるものであった。

ただ、そう言ってしまうと、融通の利かない生粋のフレンチ賛美家などには、コースに緩急がないなどと窘められてしまいそうではあるけれど、其処は最後にいきなり釜飯が供されるという反則技によって、無理矢理に丸め込まれ、否応なく満足させられてしまうという其の仕組みがまた面白い。

国境や枠組みに囚われることなく、自由な心持ちでいることが、何より大切なことなのだと内心静かに心得ている人ならば、先入観なく、此の異形の料理を在るがままに楽しみ、其処に軽やかな小気味好さを感じ取ることが出来ることだろう、其れもまた、決して主流ではない者の、ひとつの特権と言っていいものなのである。

龍のひげ京料理 / 京都市役所前駅三条駅三条京阪駅
夜総合点★★★★ 4.5



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