金を落しに来た日本人観光客が、露骨な差別を受けることはまずない。
しかし、土産物店や有名な飲食店で、韓国人のふりをして聞き耳を立てていれば、韓国人の従業員同士は、しばしば「倭奴」「チョッパリ」と言っている。
在日韓国人は「半チョッパリ」と呼ばれる。
「半チョッパリには詐欺師が多い」とは、釜山ではよく聞かされる話だ。
韓国のプロサッカーリーグで活躍した在日韓国人選手が、日本に帰化したのは競技場で「半チョッパリ」のヤジを浴びせられたからだという。
「半チョッパリ」になぞらえれば、脱北者や中国籍の朝鮮族は、さしずめ「半韓国人」となろうか。
彼らもまた激しい待遇差別と侮蔑の声の中に曝されている。
韓国に住む外国籍者は、半数が中国籍で、その7割が延辺などから来た朝鮮族だ。
「主に、建設現場の日雇い労働者、小規模工場や養鶏場の作業員、飲食店補助スタッフ、家政婦など、最下層の仕事に従事している。彼らがいなければ、工場や飲食店、工事現場は立ちゆかないほどだ」とされる。
つまり、韓国人が嫌う3K仕事を担っているのだ。
そもそも、朝鮮族の就労を受け入れる法的根拠である「訪問就業制度」とは、07年3月に韓国の3K業種の“活性化“を目的に創設されたビザ制度だ。
政府が「3K業種要員専門」のビザをつくることからして、韓国人の人権感覚は日本人とは全然違う。
朝鮮族は、賃金は安いし、労災関係の保障もあいまいだ。
ところが、3K業種で働く当の朝鮮族からは「韓国での待遇を考えると、中国に戻って仕事をする気にならない」といった声が出ているというから驚きだ。
旧満州地域の生活水準は、よほど酷いのだろう。
朝鮮族も同じ韓国語を話す同民族だが、の身分に押し込められているわけだ。