田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『レッド/RED』

2020-11-06 08:00:46 | ブラウン管の映画館

『RED/レッド』(10)(2015.11.20.)

 タイトルのREDとは「リタイヤード・エクストレメリー・デンジャラス」の略で、「引退した超危険人物」となる。その超危険人物たちにブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレン、ブライアン・コックス。

 おまけにアーネスト・ボーグナインまで登場し、敵役にはリチャード・ドレファスという、何ともぜいたくな? キャスティングが楽しい。原作はDCコミックだから漫画のようなシーンも多々ある。同時期にシルベスター・スタローンの『エクスペンダブルズ』(10)の存在もあり、ロートルスターたちの共演が話題となった。

 監督のロバート・シュヴェンケは、この映画の他にも『フライトプラン』(05)『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』(13)『ダイバージェントNEO』(15)を取っているからアクション系一筋の人。

 それから、撮影監督はフロリアン・バルハウスとあり、もしやと思って調べてみたらやはり名撮影監督ミハエル・バルハウスの息子だった。彼らはドイツ人。というわけで、この映画、キャストもスタッフもなかなか国際的なのである。

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『荒野の決闘』非公開試写版

2020-11-06 07:20:22 | 映画いろいろ

 

(2016.11.3.)
 フィルムセンターの「UCLA映画テレビアーカイブ 復元映画コレクション」で『荒野の決闘』の非公開試写版を見る。このバージョンは、UCLAの映画の授業時に、学生の指摘をきっかけに発見され、復元されたものだという。監督のジョン・フォードが当初意図したものにより近くなっているらしい。

 製作者のダリル・F・ザナックが編集し直した現在の公開版は97分。対して今回のバージョンは102分なのでおよそ5分多いことになる。フォード対ザナックの闘いの跡を垣間見ることができて興味深いものがあった。

 ところで、ビリー・クラントン(ジョン・アイアランド)を追って落馬するバージル・アープ(ティム・ホルト)、ラストシーンでクレメンタイン・カーター(キャシー・ダウンズ)に別れのキスをしないワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)(個人的にはこちらの方が好きなバージョンだ)。これらはどこか(名画座かテレビかビデオか…)で以前見たことがあった。ということはほかにも色々なバージョンが存在するということなのか…。

 今回初めて見たシーンや聞いたセリフは、ドク・ホリディ(ビクター・マチュア)の登場前に、ビリーがチワワ(リンダ・ダーネル)を口説いているシーンは、後のビリーとチワワの関係の伏線となる重要な場面だ。

 また、ドクが劇場でワイアットにひげそりの際についた傷を見せるシーンはフォード流のユーモアか。チワワの手術前のドクとクレメンタインのやり取りとそれを影から眺めるワイアットは、三人の関係性を知らせる、これも重要なシーン。ドクの亡き骸を前にワイアットが「ブーツは俺が…」と語るところは、二人の友情を示す重要なセリフだ。

 加えて、トゥームストーンを去るワイアットがクレメンタインの部屋の窓を見るシーンは、「見送りもなしか…」というワイアットの寂しさを表す重要な場面。これがあると、最後にクレメンタインが待っている意味がさらに切なく深いものになる。

 という訳で、個人的にはこの非公開試写版の方がさらにいいと感じたし、映画は編集次第なのだと改めて思い知らされた。

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