田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『TENET テネット』

2020-11-19 22:51:44 | 新作映画を見てみた

『TENET テネット』(TOHOシネマズ日比谷)

 クリストファー・ノーラン監督の話題作を、遅ればせながらやっと見た。『ダンケルク』(17)公開の際のインタビューで、「監督の頭の中をのぞいてみたい」と言ったら、苦笑いされたが、この映画も、再びそう言いたくなるような代物だった。

 大まかに言えば、特殊部隊員の名もなき男(ジョン・デビッド・ワシントン)が、未来から「時間の逆行」と呼ばれる装置でやって来た敵と戦うミッションと、未来を変えるという謎のキーワード「TENET(テネット)」を与えられ、第3次世界大戦の阻止に奮闘する、という話。

 ここで描かれている現象は、タイムリープのように時間軸のAからBへと移動するのではなく、時間をさかのぼることを差す。つまり、1週間前に戻るには、1週間逆行し続けなければならないのだ。で、劇中で時間の逆行と順行が入り乱れることになる。これは映像的には面白いが、確かに頭の中が混乱してくる。

 ただ、最初に、名もなき男に“逆行”を教える女性科学者が「理解しようとしないで。感じるのよ」と、まるで『燃えよドラゴン』(73)のブルース・リーのようなセリフを話すが、これはノーランが観客に向かって吐いたセリフだとも言える。『ダンケルク』が、見るのではなく“体感する映画”だったように、この映画は、理解するのではなく“感じる映画”なのだろう。

 ラストに、黒幕が誰であるかなど、一応一通りの種明かしはしてくれるので、何となく分かったような気分にはなるのだが、見終わった後で反すうすると途端にもやもやしてくる。特にいろいろとディテールや伏線が気になり始め、こちらも時間を逆行させて、もう一度最初から見たくなってくる。と、見事にノーランの術中にはまってしまった。

 敵役のケネス・ブラナーはちょっとくさいが、相棒役のロバート・パティンソンがなかなかよかった。

【インタビュー】『ダンケルク』クリストファー・ノーラン監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/563b964893e573512ff2b9a1b807ec3e

【ほぼ週刊映画コラム】『ダンケルク』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/690c0a111ecc93a135cbd8ec1a22924c

神や超常現象は人間の内面に存在する『インターステラ―』(14)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0ceb1ca9563918da684d48385dad85d4

夢の夢を描いた『インセプション』(10)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/68645068755f69c638f1cd3d429daf7b

『テネット』の元祖とも言うべき『メメント』(00)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e427e29ada89b0dbf4f097fc882ed87b

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調布の東京現像所

2020-11-19 20:43:35 | 雄二旅日記

 所用で調布の東京現像所を初めて訪れた。ここは映画フィルムの老舗現像所。小津安二郎のカラー映画、『ゴジラ』シリーズ(だからゴジラもいた)、『男はつらいよ』シリーズ、ATG映画、カラー版の『無法松の一生』(58)『おとうと』(60)の銀残し、『泥の河』(81)のモノクロ映像などなど、ここで現像された映画は枚挙にいとまがない。

 学生時代に、ライバル?の五反田の東洋現像所(現イマジカ)で4年間アルバイトをした(扱ったのは写真だったが)ことを懐かしく思い出した。

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『トゥームストーン』

2020-11-19 08:45:14 | ブラウン管の映画館

『トゥームストーン』(93)

 トゥームストーンの町を主な舞台に、アープ兄弟と無法者集団「カウボーイズ」との抗争を描く。監督はジョルジュ・パン・コスマトス。有名な「OK牧場の決闘」が“済んだ後”が延々と描かれる構成がユニークではあるが、西部劇本来の良さである、痛快さや解放感、叙情性は影を潜め、銃の暴力が際立つ、陰性の“リアリズム西部劇”になっている。これも時代の流れか。

 ワイアット・アープをカート・ラッセル、ドク・ホリディをバル・キルマー、リンゴ・キッドをマイケル・ビーンが演じ、チャールトン・ヘストンが顔を出し、ロバート・ミッチャムがナレーションを担当している。

 

 

ジョルジュ・パン・コスマトス監督が亡くなった。(2005.4.27.)

 イタリア出身のギリシャ人、ジョルジュ・パン・コスマトス監督が亡くなった。コスマトスといえば『カサンドラ・クロス』(76)である。公開当時は、無名の若手監督が、なぜこんな国際的なオールスター・キャストの大作を任されたのかが不思議だった。

 多分、これはプロデューサーのカルロ・ポンティの仕業だ。妻のソフィア・ローレンが主演していることだし、新人にやらせればなにかと都合が良かったのだろう。映画自体の出来はいまひとつだったが、ジェリー・ゴールドスミス作曲のテーマ曲が忘れ難いものになった。

 さて、その後のコスマトスだが、ほかの代表作がシルベスター・スタローンの『ランボー/怒りの脱出』(85)『トゥームストーン』(93)では、デビュー時の衝撃に比べると大きく飛躍したとは言い難い。映画監督とはつくづく難しい職業だと思う。 

 

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『アラン・ドロンのゾロ』

2020-11-19 07:29:00 | ブラウン管の映画館

『アラン・ドロンのゾロ』(75)(1977.10.23.日曜洋画劇場)

 何度も映画化されているジョンストン・マッカレー原作の『怪傑ゾロ』をアラン・ドロン主演で描く痛快冒険活劇。監督は『ビッグ・ガン』(73)でもドロンと組んだドゥッチョ・テッサリ。

 剣の達人ドン・ディエゴ(ドロン)は、暗殺された旧友の復讐を誓い、メキシコ領ニュー・アラゴンへ向かう。そこでは、ウエルタ大佐(スタンリー・ベーカー)が軍隊を率いて横暴の限りをつくしていた。無能な新総督に成りすましたディエゴは、黒マスクの騎士ゾロとなって民衆を救い、英雄となっていく。

 普段は軟弱な青年貴族が実は正義のヒーロー、という一人二役をドロンが楽しそうに演じている。敵役のベイカーとの15分にも及ぶ剣による決闘シーン、可憐なオッタビア・ピッコロ、オリバー・オニオンズが歌う軽快な主題歌「ゾロ・イズ・バック」など、見どころが多い。

 どちらかと言えば、ドロンの映画は暗くもの悲しいものが多いのだが、この映画は珍しく明るく楽しい気分で見ることができる。

「ゾロ・イズ・バック」
https://www.youtube.com/watch?v=ifeI130STKo

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『サムライ』

2020-11-19 07:16:54 | ブラウン管の映画館

『サムライ』(67)について、『20世紀の映画』から

アラン・ドロンに「名誉パルムドール」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/25a95a324b01d0621bf96ee07d936e54

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