たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

藤沢周平著 「隠し剣秋風抄」

2020年12月15日 09時45分55秒 | 読書記

図書館から借りていた 藤沢周平著 「隠し剣秋風抄」文春文庫)を 読み終えた。「隠し剣孤影抄」に続く、「隠し剣シリーズ」第2弾目の作品だ。
1976年(昭和51年)から1980年(昭和55年)まで、「オール讀物」に断続的に掲載された短編時代小説を纏めた書だが、本書には その内の、「酒乱剣石割り」、「汚名剣双燕」、「女難剣雷切り」、「陽狂剣かげろう」、「偏屈剣蟇ノ舌」、「好色剣流水」、「暗黒剣千鳥」、「孤立剣残月」、「盲目剣谺返し」の短編9篇が収録されている。
主人公は 各篇毎に異なり 一話完結になっているが いずれも「隠し剣」と呼ばれる秘伝の絶技を身に付けた武芸者、剣客が 周囲の状況に巻き込まれて 「隠し剣」を披露するに至るまでを描いている。東北の架空の小藩海坂藩の風景描写、下級武士の悲哀、悲劇的結末等、藤沢周平ならではの世界に引き込まれる書だ。


主な登場人物とあらまし

「酒乱剣石割り」
弓削甚六(雨貝道場次席、安江(甚六の妻)、喜乃(甚六の妹)、松宮左十郎(側用人松宮久内の息子)、雨貝五左ェ門(道場主)、稲垣八之丞(組頭稲垣与市兵衛の息子)
次席家老会沢志摩は 丹石流雨貝道場を訪れ 道場主雨貝五左ェ門から 側用人松宮久内の倅で忠也流の剣士松宮左十郎を斃すことが出来る門弟を推薦させた。推薦されたのは師範代の中根藤三郎でなく 秘鍵石割りを難なく習得した次席の弓削甚六だが 無類の酒好き、酒乱。城中百間廊下にうずくまる甚六。不意に血相を変え賄所へ。「酒はあるか」「出せ」。松宮左十郎が姿を現したとき 甚六は十分出来上がっていた。

「汚名剣双燕(そうえん)」
八田康之助(近習組から普請組支配に変えられた藩士)、市尾(康之助の妻)、関光弥(組頭関甚左ェ門の息子)、香西伝八郎(道場仲間)、由利(伝八郎の妻)、宗方六郎右エ門(不伝流宗方道場道場主)
3年前、同僚を斬った河西伝八郎に立ちふさがったものの刀を抜かず、道をあけて逃走を許してしまった八田康之助、不伝流宗方道場の三羽烏と呼ばれていた八田康之助、香西伝八郎、関光弥だったが、以来 八田康之助は臆病者という汚名を着せられ、侮られている。伝八郎が討手に斬られてから その妻由利が 関光弥と付き合っていることを知った康之助。藩命に逆らった偏屈な関甚左ェ門の屋敷に 十人の討手が差し向けられ、康之助もその中に加えられた。宿命の糸にたぐいよせられ、康之助と光弥に決着を付ける時が。「見たぞ、双燕」。

「女難剣雷切り(いかずちぎり)」
佐治惣六(御旗組、3人の妻離別死別、一刀流中津道場今枝流達人、36歳)、嘉乃(陣内庄助の娘、26歳)、服部九郎兵衛(御弓組物頭、中津道場惣六の高弟)、吉成万次郎(勘定組)
佐治惣六は 10年前に凶悪な盗賊二人を 一人で斬り伏せた剣の達人だが 小柄で醜男、女房運に恵まれなく 女中に手を出す等という噂が笑いの種になっている。物頭服部九郎兵衛の紹介で4人目の妻として嘉乃を迎えるが 惣六は 嘉乃の態度に不審を抱き始める。吉成万次郎が 「貴公の奥方のことだが・・・」、果たして・・・、「斬っておしまいなさい。このひとを」「今枝流に雷切りという秘剣がござる。受けてみられるか」、二人の髷が根本から飛ばされていた。

「陽狂剣かげろう」
佐橋半之丞(馬廻組百石の藩士)、三宅十左ェ門(制剛流三宅道場主)、乙江(十左ェ門の次女、16歳)、増子新十郎(三宅道場師範代)、菜穂(新十郎の妻女、十左ェ門の長女)、金丸徳之助(馬廻組、側用人菊村庄左ェ門の縁者、樋口道場高弟)、おあき(女中)
佐橋半之丞は 三宅十左ェ門から 半之丞との祝言を控えていた次女乙江が 藩主右京太夫の若殿三五郎重章(32歳)の側室に差し出すようご下命を受けたと告げられる。すっかり半之丞に嫁入りするものと信じている乙江に納得させる方法は・・・、半之丞は 狂者を装うことにしたが・・・、「かげろうの太刀をそなたに伝授する」、乙江のことは諦めろ、そのかわり・・、取引きめいた響きが・・。若殿に乙江のことを吹き込んだのは誰だ?、演技の狂気と真の狂気の境界が曖昧になり・・・、乙江は?、半之丞は?

「偏屈剣蟇ノ舌(ひきのした)」
馬飼庄蔵(御旗組、不伝流堀川道場で秘伝蟇ノ舌習得、偏屈者)、素世(庄蔵の妻)、植村弥吉郎(大目付、32歳、無外流達人)、山内糺兼次(中老)、間崎新左ェ門(主席家老)、
主席家老間崎新左ェ門との政権争いに破れて執政から追い出された山内糺兼次は着々と派閥を固め中老の座に座り、なおも間崎派の追い出しに掛かっている。大目付に山内派の植村弥吉郎が就任することになり、過去の不正を暴かれて失脚を恐れる間崎新左ェ門は 植村暗殺を企て、番頭遠藤久米次に、偏屈で知られる馬飼庄蔵を 刺客に仕立てる工作をさせる。「そなたを嫁にもらったのは わしの偏屈のせいではない。・・達者ですごせ」

「好色剣流水」
三谷助十郎(井蛙流多田道場で相打ちの剣、秘剣流水を伝授された剣の遣い手、好色、35歳)、千寿(助十郎の姉、38歳)、鹿乃(助十郎が10年前に離縁した妻)、服部弥惣右エ門(近習頭、一刀流寺内道場師範代、40歳)、迪(みち、惣右エ門の妻女、24歳)、志賀平右エ門(目付平賀家の隠居)、平井庄兵衛(助十郎の同僚)、
三谷助十郎は 井蛙流の遣い手として家中の名声が高かったが、一方で好色な人物として知られている。近習頭服部弥惣右ェ門の妻女迪に心を奪われて後をつけまわす助十郎、まるで犬じゃな、挙げ句の果て 果し合いとなり・・・、秘剣流水を遣い、・・。

「暗黒剣千鳥」
三崎修助(三徳流曽我道場次席、部屋済み、23歳)、三崎吉郎右エ門(修助の兄)、松乃(吉郎右エ門の妻女、修助の義姉)牧治部左エ門(次席家老、元の名牧忠次郎)、泰江(朝岡市兵衛の娘、18歳)、
一刀流増村道場の服部繁之丞が殺され、その5日後には 三徳流曽我道場仲間の戸塚伊織が殺されたことを 三崎修助は知る。続いて 道場仲間奥田喜市郎が殺された。実は、三崎修助、服部繁之丞、戸塚伊織、山口駿作、奥田喜市郎の5人は、次席家老牧治左ェ門の密命を受けて 藩主右京太夫の寵愛を受けていた奸臣明石嘉門を闇討ちした一員だった。三徳流曽我道場に伝わる秘伝暗殺剣千鳥を遣う刺客とは?、「匂った。くすりだ・・・」

「孤立剣残月」
小鹿七兵衛(無明流達人、41歳)、高江(七兵衛の妻女)、三井弥五右衛門(前家老)、鵜飼半十郎(一刀流梶流達人、鵜飼佐平太の弟、27歳)、
15年前、小鹿七兵衛は 他の三人の討手と共に、鵜飼佐平太を上意討ちしたが、その佐兵太の弟半十郎が藩主の思し召しで鵜飼家を再興を許され、七兵衛に果し合いを挑んできた。理不尽極まりない話に すっかり体が鈍った七兵衛は右往左往する。なんとか果し合いを回避したい七兵衛だったが、背後には藩の権力争いが有り 果し合いは避けられず、死を覚悟して臨んだが・・・。その時 半十郎の後方に 襷、鉢巻、手に懐剣を握った女が走って来た。「来ては、ならん」、一瞬、シロキ月が現れ、八双の剣が振りおろされた。とどめを刺すゆとりもなく、七兵衛は膝をついて喘いだ。「大丈夫ですか、おまえさま」

「盲目剣谺返し(こだまがえし)」
三村新之丞(東軍流木部道場の麒麟児)、加世(新之丞の妻女)、徳平(新之丞の老僕)、羽多野以寧(いね、新之丞の従姉)、島村藤弥(近習組組頭、36歳、新之丞の元上司)、山崎兵太
藩主右京太夫頼近の毒味役の三村新之丞が笠貝の毒に当たり失明してから1年半、新之丞は、妻加世がかっての上司近習組島村藤弥と密通していることを知る。新之丞は加世を離縁する一方で 山崎兵太の調べから その経緯、真相が明らかになる。新之丞は 果し合いを申し込む。「盲目として侮るまい」。ほとんど無意識の一撃、あれが谺返しだったか?、そして徳平が連れてきた女中とは・・・、


(ネットから拝借イラスト)

 

コメント (2)

令和2年12月15日の朝

2020年12月15日 08時21分51秒 | 暮らしの記録

(日本気象協会 tenki.jp)

西高東低の冬型気圧配置が一段と強まり、北海道や東北日本海側、北陸等で 大雪の情報もでている。太平洋側は 概ね晴れの予想だが 関東西部山沿いの当地、早朝の気温は 0度前後、冷え込みが厳しくなってきた。

朝日に映える奥多摩方面の山並み

大岳の中腹、大岳神社あたりのなにかに反射する光、ピカリ。

令和2年、今年の漢字は「密」、
頷ける。

「密閉」「密集」「密接」、三つの「密」が重なると
コロナ感染発生のリスクが高まるとされ、
今年1年間ずっと、注意喚起されてきた。
にもかかわらず 一向に 感染拡大が収まるどころか 
第2波、第3波に襲われている。
来年は もっと明るい漢字になってもらいたいものだ。

先日、ピンク色のシャコバサボテンが咲き、
トキ色っぽいシャコバサボテンが咲いたが
今度は 真紅のシャコバサボテンが咲き始めている。

 

 

 

コメント (4)