図書館から借りていた 平岩弓枝著 御宿かわせみ8 「白萩屋敷の月」(文春文庫)を 読み終えた。
「御宿かわせみシリーズ」第8弾の作品である。
本書には 表題の「白萩屋敷の月」をはじめ 「美男の医者」「恋娘」「絵馬の文字」「水戸の梅」「持参嫁」「幽霊亭の女」「藤屋の火事」の8篇が収録されている。
平岩弓枝著 御宿かわせみ8 「白萩屋敷の月」
「美男の医者」
旅籠かわせみに 染め物職人左太郎、おもんの兄妹が泊まるところから物語が始まる。神林東吾は 泊り合わせた美男の医者寒井千種に片棒を担がせ 詐欺まがいの芝居を打ち、事件を解決。実は 寒井千種、徳川将軍家御典医天野宗伯の息子天野宗太郎だったとは・・・「偽名など使いやがって・・・」
「恋娘」
山口屋の主人が一人娘お鹿に川へ突き落とされた?、その真相は?、そしてお鹿は・・・、
「親心なんですねえ」
「絵馬の文字」
小伝馬上町の諏訪明神の絵馬堂に「お父つぁんを助けて下さい 清之助」という願文が奉納されていたが・・・・、
「伊吹屋で昨夜 人殺しがあったんです」「殺されたのは」「源七夫婦と清之助です」、畝源三郎、神林東吾の真相究明、謎解きの末・・・、
「水戸の梅」
旅籠かわせみに 父親庄兵衛を探しに水戸から出てきた豪農の兄妹庄太郎、お三重が泊まる。庄兵衛は 頭の上がらないおまきと暮らしており・・結局は・・・、
「持参嫁」
持参金付きで医者の坂上周庵に嫁いだ信江が川に身を投げて死ぬ。不審を抱く妹加江の依頼を受け 畝源三郎、神林東吾が 真相究明、探索に動き・・・・、
「幽霊亭の女」
旅籠かわせみで るい、お吉、嘉助、神林東吾、畝源三郎が 深川の逍遥亭に幽霊が出る話をしていたところに使いが来て、逍遥亭の女将おたきが殺されたことを伝える。次々起きる人殺し事件、清吉、お文、辰三郎、下手人は?
「藤屋の火事」
旅籠藤屋が火事になり 京都から来て泊まっていた異父姉妹お幸、お六の内 お六が焼死した。お幸の実の父親は日本橋の扇問屋近江屋彦兵衛、
事件が発生、畝源三郎、神林東吾が 真相を究明していくと、実は・・・・、
「白萩屋敷の月」
神林東吾は 兄の南町奉行所吟味方与力神林通之進の使いで 根岸の白萩屋敷に住む青江但馬守の後室お香(香月)を訪ねる。大変な美貌の女性ながら顔半分に火傷の跡が有る。そこに隠されていた理由とは?・・・短冊、「花に似し 君想わるる 月の夜に 萩の小道を 一人し歩めば 通之進」
本篇は 珍しく事件や謎解き等が無く 母のように姉のように慕った少年の淡い恋心と それをずっと感じていた女性の情念を描いた作品である。