草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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意外な弱点

2014年10月27日 10時43分12秒 | 
 おはようございます。今日も昨日に続きいい天気です。今年も紅葉を見にいきたいと思いつつ結局暇を見つけることができぬままにきてしまいました。
 日曜日には、「勝導」というレジュメシリーズがあるのですが、これは今年の過去問を扱ったものですけど、やることにしています。このできが昨日もよくなかった。かなり思考力が高いとわたしが思っている子たちの正解率がよくないわけです。7割をねらっていけばいいとおもうのですが、とても5割にも達していない。これはどうしたことか。できなかった問題というのをよく見てみると、どうも資料の読み方がかなりいい加減である。これまで資料の読み取りはかなり訓練を積んできたとおもっていたけれどだめでした。図形的な感覚もできていない。
 これはしばらく勝導はやれないか、と思わず考え込んでしまいました。最新の本番の過去問のできがよくない、というのはかなりショックではあります。
 観察するということができていないようです。シャーロック・ホームズが推理するときに事件の現場を子細に観察する光景を思い出します。ひとつひとつの痕跡から見事に合理的になりたつ物語を再現してみせます。
 さて。観察するとはどういうことなのか、ということです。ひとつの壺を見せて観察させる実験をしたらどうなのだろうか。おそらく小6の子たちは何も意識しないでただ眺めているだけなのではないか。ただ見ることを観察することと思っている節がある。
 ただ見ていただけでは何も観察していないのと同じです。壺を見てそれを言葉で伝えられるか、そもそも観察の前提はそこです。物語に盲目の人に「象とはどんな動物か」ということを教える」というのがありましたけど、ことばで説明するというのは意外と難しいものです。勝導で図形の状態(位置関係)を説明させる問題がありましたが、白紙でした。こんな簡単な問題を白紙で出すのはどうしたことか。子どもたちの意外な弱点を見た思いでした。
 目で見たものをあたりまえと思って無意識でやりすごすということを普段からやっているということです。
 実は、観察するというのは極めて意識的な行為です。意識を最大限にはたらかせなければならない。意識をはたらかせるというのは、要するに、実際は、「事象を言葉で置き換える」ということにつきます。グラフを読み解く問題で、ただ漠然と「上がっている」とか、「下がっている」などという貧困な言葉でしか言い換えられない、言い換えてこなかったから、ダメなのです。言葉で置き換えられるところはどんな小さなことでも言葉に置き換えていく。「○年はちょっと落ちている。グラフは鋭角三角形の角のようだ」とか、2つのグラフが「見事に交差している」とか、「急角度で上がっている。角度は80度はある。このまま90度になるのかな」とか、「上がったり下がったりを繰り返しながらおおよそ平行線に近い」とか、観察の言葉はいくらでもある。もう少し対象に接近して気がついたところをどんどんと言葉に換えていく、慣れてくれば次第に的確な言葉をあてることもできるようになる。観察するというのは、観察対象を再現できるほどに暗記していることでもある。ただ漠然と眺めているのではなく、ありとあらゆる微細なところまで言葉で表現して見せて、後で想像の中で再現できるかということである。これはもう暗記しているということである。だから勉強で暗記しようというのは、その対象をかなり観察しなければならないということです。暗記というのは観察してからとりかかる。言葉で置き換えるというのが、観察である。だから科学者は見たこと、現象を微細にノートにメモしていくという。もちろんメモだから言葉を使う。観察というのは、言葉をメモしていくということと同値なくらいである。だから適性問題を見たら、読んだら、漠然と見ていてはだめということである。気がついたことは余白にメモするというのもいい。ただメモはあくまで観察なのであるから、メモを丁寧に、しかもびっしりかくのは本末転倒である。答案の補助としてかくということである。
 ふだんに観察力を磨くにはどうしたらいいか。何かを観察するということは、その観察対象をとにかく言葉で置き換えていくということである。だから徹底的に言葉でメモして、今度は想像の中で再現してみなさい。それが観察力の訓練です。
 そういう訓練は今からでもできるはずです。小6のみなさんは、どうもこの観察するというところで戸惑いが。ためらいがあるように思います。
 慣れてくれば頭の中で迅速に言葉で対象を置き換えるという意識の働かせ方ができるようになるでしょう。
 観察は後で再現すること、つり答え合わせが大切です。
 問題をただ漠然と読むくせというのは、普段にあなたたちが観察するという意識でものごとを見ていないからです。

 
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