草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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戦略と軍師

2008年12月05日 01時14分41秒 | 
 入試における指導というものは, 多分に戦略的なものにならざるを得ない。過去の指導において, 様々な致命的とも目される難題を抱える子どもたちを託されてオーソドックスな指導とは異なる入試に合格させるという目的にのみ奉仕する戦略的指導というものを策してきたことは数知れない。たとえば ,数学が簡単な連立方程式の計算までしかできないという子を都立玉川絶対合格至上命令ということでということで合格させたケースでいえば ,まずトータルとして, 内申点との兼ね合いで, 500点満点の200点で合格と予想する。そこで数学は都立の場合, 1番は基礎小問が8問,残り12問。1問5点として,計算以外は記号問題。こうして,30点ほどをカウントする。 英語は記号問題が主体。英作文は予め覚えさせておいた例文を書かせる作戦。全く英語知識ゼロといっていい子を想定して20点から40点。国語はその中でいちばんの得点源だ。都立の国語は記号がほとんどで, 漢字は20点分ある。過去の指導でも最低60点はカウントできる。こうして, 残り120点を理科・社会でまかなうことになる。ところが, 理科がほとんどとれない。数学ができないのであるから, 当然だ。しかし, 理科は同じ知識が繰り返し出題される。過去問を繰り返しやっていると60点とることもある。こうして社会がどれだけとれるかということになってくる。70点を目標に徹底して覚えさせる。こうしてトータル200点の作戦がひたすら実行されるわけである。結果はめでたく合格。入試の指導というものは, 思考力から育てていくという本来の指導とは, 異なる全く異質の戦略的指導が過去幾度となく繰り返されてきた。偏差値38の子を国学院久我山に合格させたときも, 同様のトータル思考の戦略的指導が実施された。この子の場合はそれほど優秀ではないにしても, 教えればなんとか理解可能な知能は有していた。そこで, 全く苦手の高校入試の数学に, 国学院の数学の出題パターンに即した指導を実施した。確率1題。2次関数1題。立体1題。円1題。想定した分野の典型問題を徹底して学ばせた。本番では「捨て問」の技術を伝授実行させた。優秀な生徒が全問解こうとして失敗するのは常のことだが, 私は5問中2問は白紙で出せと命令した。3問だけに全時間を使えと厳命した。その子は私の指示を忠実に履行した。合格発表では補欠の2番で結局繰り上がり合格した。偏差値38からの合格は奇跡的といえた。竹の会開設当初に青山学院高等部に合格した生徒の場合もかなりに戦略的な手法を使った。が, 彼の場合は, 実力を押し上げるというオーソドックスな手法が功を奏したといっていい。もともと知能の高い子には私にはオーソドックスな指導の手法の方が合格へ持っていける確率が高い。戦略的といったのは, たとえば極端に苦手な国語の読解をクリアさせるためにとった手法とか, 私立古文の対策として私がとる私立古文過去問20選の徹底理解のようなことである。弱点が見つかれば, 徹底して戦略的な補強を試みた。そういう意味の戦略的指導というのは, 普段の指導でも普通に使われている。現在竹の会の主力的指導手段であるレジュメによる指導は, 実は戦略的指導の完成形態といってもいい。中2の後期には絶対欠かせない英文解釈の指導も今では完成度の高いレジュメで高度の指導が実現されつつある。竹の会の英語指導は夥しい数のオリジナルレジュメによって徹底した基本訓練が繰り返される。必要な時期に必要な指導を戦略的に行う。漢検も重要な戦略となる。漢検3級以上をとっている子どもの合格率はかなりに高いといえる。過去多くの奇跡的合格者を輩出させてきた経験は, 実は戦略的な指導なしにはありえなかったものである。
 軍師が活躍するのは戦時に限る。日本の戦国時代はそういった名軍師が輩出された時代であった。名将の影に名軍師ありといわれた。武田信玄には山本勘助。豊臣秀吉には竹中半兵衛あるいは黒田官兵衛。戦略とは, 戦いに勝つ戦略である。軍師の教科書はたいてい「孫子」だった。 私は別に孫子を勉強したわけではないが, ただ受験指導というのは, 戦いに勝つ指導ということでは, 孫子に学ぶことも多い。あるいは合格という目標のために戦略的な指導を好むと好まざるととってきたことは正直に言っておかなければならない。だからこそ, 早い時期からの「思考力を育てる」指導の重要性をひしひしと感じるのである。とはいっても, 私の作るレジュメが私の過去の百戦練磨を苦しみながら戦い抜いてきた経験から, どうしても戦略的なものになりがちなのは否定できないかもしれない。
後記
冬期指導では, 外部生の申込も受け入れています。 定数になった時点で申込は不可能になります。予めご了承ください。
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