草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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都下の公立中高一貫校よもやま話(4)

2009年12月03日 08時53分03秒 | 
●東京都立富士高等学校附属中学(正式名称決定)
 2010年併設型の中高一貫校として開設予定です。2010年の入学者選抜は, 10倍超が予想されます。10倍超といえば, 区立九段の激戦のすさまじさが思われます。受検者の質が高く知能が高いことを実感させたのが, 九段でした。かなりの実力者が軒並み落ちました。九段の場合は, 区外枠男女各40人というのが, より狭き門にしていましたが, 前評判の高い富士ではそういう問題はありません。
 富士(中野区)は, 旧第3学区(中野区・杉並区・練馬区)に属しています。同じ学区内には都立御三家のひとつ都立西(杉並区)があります。杉並区というのは, 私立中ねらいの塾通いの児童が多い区です。こうした児童が, 大挙, 併願してくる可能性が高いとみてといいでしょう。
 都立富士高校は, 学区内では, 都立西高校に次ぐ2番手にある学校です。第2学区の都立新宿や駒場には, やや劣るもののほぼ同列と見られてきた学校です。学区制が撤廃されて都内のどこからでも受験が可能となったことから, 竹の会でも, それまで新宿や駒場しかなかった選択肢が広がり, 都立富士にここ何年か合格しています。富士高の生徒の質は高く, 都立上位校に見られる「自由な校風, 明るい雰囲気」はそのままです。昔から竹の会からは都立新宿に行く子が多く, そのため都立新宿の内部情報が豊富なのですが, 自由な校風というのが, 生徒たちの大らかさを育み, やはり都立上位校というのは「いいな」と思わせたものです。竹の会から都立富士に合格した子たちは「できる優等生」ばかりでした。
 新設附属中の適性問題は, すでにサンプル問題が発表されています。他の都立中高一貫校と同様に共通テーマである「リーダー育成」という課題に即した出題となっています。
 富士のHPの説明によると, 「データを処理して考察して, わかりやすく説明できること, さまざまなものから適切なものを選び出すとか, いろいろな組み合わせの中で『これが適切だ』と判断できること」を出題の準則としているとあります。先発校の両国や白鷗などの問題が, もちろん参考になります。その場合, 合否の分かれ目は, 「問題に対する結論を書くだけではなく, 選んだ理由をわかりやすく他の人に説明する」ことができるかでしょう。まさに, それこそがリーダーに求められる資質といえるからです。昨今の政治を見ていても, 国民にわかりやすく政策の理由を説明できるリーダーのいなかったことが,政治不信を助長してきました。国会の答弁では, 大臣は何も知らないで, 政府の役人が事務的な説明をするというのが, 日常のことでした。そういうことを考えてみれば, リーダーの資質というものも, 見えてくるというものです。都立の中高一貫校は「リーダーの育成」ということが, 共通テーマですから。
 富士は, 他の一貫校とは違い, 併設型の附属中とされました。このことが, 今後の学校の有り様をどのように規定していくのかも気になるところです。学校側は大きな声で言いませんが, 往時の都立富士では, 東大合格者を30人以上出していた時期があり, いずれ東大合格者の数で答えを出したいとの思いがあるのではないでしょうか。
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