草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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 症状と処方

2007年07月19日 12時32分38秒 | 
 今週から試験紙として次のような問題スタイルでチェックを始めた。
 「ある品物に定価の30%の利益を見こんで定価をつけました。その定価の1割引きで売ったら425円の利益がありました。この品物の原価は円です。」
「正しい疑問(1) 原価を1あたりとすると定価は何あたりになりますか?
 正しい疑問(2) 疑問(1)で求めた定価(あたり数)を1あたりとする(あたり数のあたり数のことです)とその1割引きとは何あたりになりますか?
 正しい疑問(3) 利益は何あたりになりますか?
 正しい疑問(4) 利益のあたり数が425円になることから, 原価つまり1あたりを求めてください。」

 レジュメには一切図は入れないことにした。図を入れると図から視覚的に答えを出す子がいるからだ。
 とにかく頭の中で考えてもらうことにした。「正しい疑問」とは
思考の手順を示したものである。問題を見て考える作法を学んでもらう意図であるが, この正しい疑問にさえ答えられないという事実から, その子の理解の段階を知る手立てとするねらいもある。
 案の定, 正しい疑問のところでつまずく子が続出である。そこで「正しい疑問」がなぜ正しい疑問なのかということを, 事実を分析してみせて示すことにする。そのために補助的な疑問を投げかける。
 この正しい疑問をすべてクリアしてめでたく正解に達する子が予想外に出てきた。これは正しい疑問がその子を正解に導く道案内の役目に成功したことを意味する。この問題はその正しい疑問を追うことによって1あたりの学習をさせる意味もある。
 できない子の症状は様々だ。正しい疑問にまるで答えられない子もいる。図式のレジュメだと答えを出していた子もここでは沈黙してしまう。実は1あたりを理解していなかったということだ。あるいは事実を正確に分析して意味づけすることができないということだ。
 計算未熟な子には計算に熟達させることが処方だ。計算レベルで遅遅としている子もいる。四則計算が不安定な子もいる。割合のベタな問題ができない子もいる。症状はみな違うが, 彼らに当面の処方的指導を施すことになる。ここで「割合」のベタな問題に特化したテキストを使用することにした子たちもいる。計算未熟な子にはそれも無理だ。ここは我慢して計算の練習をしてもらうしかない。
 私の正しい疑問に従って正解に達することができた子たちには, これからの指導に心配はない。後は私のレジュメでいくらでもレベルをあげていくことができる。
 問題はベタな問題はなんとか解けるが正しい疑問にはついてこれないという症状だ。ここはベタ問題集を使って慣れさせるというのが効果的な処方だと思う。「慣れさせる」ことは理解することに近づく有力な手である。あるいは荒療治としてレジュメを考えさせることによって追い込むということも考えうる。正直目下熟慮中である。
 こういう症状の子は事実を全くといっていいほどとらえていない。たとえば6%の食塩水が入った容器からカップでくみ出したとき, そのカップの中の食塩水が同じ6%の濃さだということも思い至らないのである。質問してみると黙り込む。ここが問題なのである。彼らがあまりにも狭い中で事実をとらえられないということが問題なのである。
 私は数独を勧める。とにかく頭の中であれやこれやと考えることをしてみることだ。
 実はこれを書いているのが12時30分でもうすぐ塾に行かなければならない。その前にあと2つレジュメを作ってから。時間に追われてこれから大変です。


 
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