草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
※2015年10月より竹の会公式HP内にブログ移転

2009年12月31日 快晴

2009年12月31日 10時48分21秒 | 
●やや体調を崩して, 昨日は早めに寝ました。慢性的な睡眠不足と長時間指導のところを風邪気味の子どもの咳にさらされアウトといったところです。仕事柄どうしても風に罹り始めの子どもたちと接する機会が多く, いつも薄氷を踏む思いです。
●小6受験生は本番まで1月となりました。子どもたちの不安は最高潮に達していると思います。
 竹の会では, 早くに全国版を踏破した1人のみが, 精神的に安定しています。極限的な緊張感というものはとても小学6年生くらいでは耐えきれるものではない。そういうとき過去問全国版をただ無心に解き直すという作業が, 勉強にリズムを与え, いつしか緊張を忘れさせ, 解き直しを繰り返すことで自信を植えつけてゆくのです。これが過去問指導法の妙味でした。私は竹の会伝統の過去問指導法を小5早期入会組に実施できると目算していました。夏休みが始まった7月からいよいよ全国版はスタートしたのです。ところが, 適性問題の水準が子どもたちの能力よりはるかに高く遅々として進まないのです。夏には半分も進むことができませんでした。9月に入ると都立過去問の踏破のため全国版は一時休止となりました。早い子は10月に全国版再スタートの予定でした。私は全国版踏破が合格の最低条件と考えていました。ところが, ここで思わぬ事態が発生しました。複数の子たちが土日は大手の講習ということで, 竹の会の指導を事実上拒否する事態になりました。このときの私のショックは相当なものでした。私はしかたなく私の指導が土日にも可能な子に絞り, 全国版踏破の願いを託しました。その中でもある小6の男子はよく私の期待に応えてくれて, 土日は17時間ひたすら全国版を解き続けました。この男子は11月の中旬には踏破を成し遂げたのです。続いて12月中旬に小5男子が踏破しました。竹の会の伝統の過去問指導法が, 実施できる子がひとりでもいたことが私のせめてもの救いになりました。私はとにかくもひとりでも合格をとれる子がいるのならそれでいいのだと思いなおしたのです。
 私は過去問指導法で数々の奇跡的合格を勝ち得てきたのであり, また過去問指導法のないところでは, 正直私は無力でした。過去問指導法だけが私に合格の確信を与えてくれました。過去問指導法のみが子どもたちを合格へ導くそして私が子どもたちを確かにコントロールしていると実感をもてる唯一の方法なのでした。
 ところが, 12月も中旬にきて, 大手講習もないのに過去問をなかなか終われないでいた小6のひとりと大手講習にまわったはずの小6が, 冬期の前半を全国版踏破にかけたいと言いだしたのです。それは既に全国版踏破を果たした小6と小5の2人の驚異的な実力を認めたからなのでしょう。冬期前半の2人の真剣さは目を見張るものがありました。そしてなんと4日目には踏破してしまったのです。しかし, 彼らにはこれから過酷な解き直しという作業が残っています。早期踏破組はすでに解き直しを着々と進めていました。遅れた組は冬期後半にかけるしかありません。後手に回った不利はしかたありません。今はただ黙って彼らの努力を見ているしかありません。
 全国版を全くといっていいくらいやることのできなかった子たちについては, せめて都立過去問を終わらせるくらいは頑張ってほしいと願っていました。しかし, まだほとんど終われないでいる子がほとんどです。
 都立過去問を踏破してその解き直しに専念している子もいます。しかし, 解けなかった過去問を解答集を見てノートにまとめているのを見ていると, 限界を見てしまいます。本番では「二度と同じ問題は出ません」。仮に過去の難問を解説を見て解けるようにしても, 何の意味もないのです。もしその作業を通して「思考力」を高めることができるのであれば, そういう作業も無にはなりません。しかし, それはありません。
 私は, そのようすを見て, また全国版どころか, 都立過去問すら終わりきれない子たちを見かねて, 「初見能力」をつける様々な手を打ちました。都立さえも終われない子たちにどれだけの有効な手になるのかわかりません。とにかく時間はもうないのですから。ただこの子たちが, このような経験を通して, 少なくとも計算力を磨き, 算数のとくに割合の基本をマスターし, 様々な適性問題に取り組むことを通じて能力を高めてきたことだけは確かです。思えば, 2年前に竹の会で公立中高一貫校をめざして勉強に明け暮れたが, 目的を果たせなかった子たちの多くが, その後公立中学で上位の成績をとり続けているという事実は, あのときの猛勉強が決して無駄ではなかったということを教えくれています。

●分数の割り算はなぜひっくり返してかけるのか

 2009年の白鷗にこれが出ました。小学校の教科書にもその説明はあるようです。ところが, 多くの小学教師が, この「なぜ」をうまく説明することができないということを聞いたことがあります。いやそれぞころかたいていの大人, いや勉強現役の大学生だって説明できない人がたくさんいそうです。

 ところで, この説明についても, 仮に説明したとして, 小学5年や6年にかぎったとしても, その全員がその説明を理解できるのかどうか疑問です。表記のテーマについては, 実は説明のしかたが, いろいろあります。そしてその説明を理解するにはどうしても「1あたり量」の理解が前提になると思うのです。「単位あたり量」の問題は, 割合とは違いますが, しかし割合を理解するための基本的前提です。白鷗がこれを出したということは, 少なくとも, 単位あたり量の思想を理解できない者は受験の実質的資格はないと言っているようなものです。昨今は, 猫も杓子も公立中高一貫校へと喧しい限りですが, これには学校側がひとつの注文をつけた感じです。

 さて本題にもどって, 今日は, 竹の会の説明のひとつを私なりに工夫して考えてみました。竹の会の子どもたちはできればこのブログのこの説明のところだけは読んでおいてほしいですね。
 
 以下では, 分数の表示ができません。そこで, 「3分の1」は, 1/3 と表記することにします。1/3ℓ/m2 とあれば, 1平方メートルあたり3分の1 と読んでください。

 次のような単位当たり量の問題を考えます。
「16/5m2 の畑に15/4ℓの水をまきました。1m2あたり何ℓの水をまいたことになるでしょうか。」
 

 式 15/4ℓ÷16/5m2 ・・・・・ア

ところで, 上の問題を変身させることができます。どうするのかといいますと,
 16/5m2を1畑として新単位(1あたり量)を考えます。すると,
 16/5m2=1畑 ですから,
 逆に, 1m2=5/16 畑 ですから, 上の問題は次のような問題に変身できます。

 「1畑あたり15/4ℓの水をまきます。5/16畑では何ℓの水がいりますか。」

 式 15/4 ℓ/畑×5/16畑 ・・・・・イ
 
 アの式もイの式も答えは同じです。なぜって? だって,
 16/5m2=1畑 だからです。

 表題の説明が完成したことに気がつきましたか。
 単位当たり量の思想を使って, 何を1と見るかの視点を変えてみました。

 このほかにもいろいろな説明のしかたがあります。
 計算式だけで説明するというのもありますよ。

 それには, 次の前提を確認しておかねばなりません。
 分数のかけ算では, 分子どうし, 分母どうしをかければよかったですよね。ところが, 分数の割り算だって実は同じなんです。
 15/16÷5/4
 では, 分子どうし 15÷5=3
    分母どうし 16÷4=4
 より, 3/4 です。
 15/16×4/5=3/4 と同じですね。
 ところが, かけ算と違って, 割り算の場合は, 常に分子どうし, 分母どうしが割り切れるとは限りません。
 たとえば,
  5/16÷7/3 だと, 次のように工夫します。
  (5/16×7/3×3/7)÷7/3
  すると, 分子は, 5×7×3÷7=5×3
  分母は, 16×3×7÷3=16×7
  つまり,
  5/16×3/7

 どうですか。ブログでは分数の表記ができませんので, 読みづらいと思いますが, 私の主意が伝われば幸いです。

●後記
 今年ももうすぐ終わろうとしています。それぞれの家庭がそれぞれのやり方で大晦日を過ごし, 新しい年に思いを馳せることでしょう。今年は, 私のブログがランクインするという私には驚きの事件がありました。かつては会員関係者しか読んでいなかったと思われる草枕に今ではたくさんの見知らぬ人たちが毎日のように訪れています。それで私も今日はきついなと思いながらも「書く」日が結構あります。
 今書こうとして構想でそのままになっている小説も来年にはなんとか目鼻をつけたいと思っています。
 ここ何年かは私の指導技術は急速な進歩を遂げているのではないかと実感しています。長いトンネルの期間を暗中模索というか試行錯誤というかとにかくもがいてきました。最近は「できない」「わからない」という事例を実験を通して, 指導技術の研究というステージで取り組むことができるようになりました。私の研究の成果は, たとえば, 小学生に割合を理解させる技術に如実に表れてきました。また, 中学生については, 私の指導技術は最高水準の極みに達しています。一定の知能水準以上の子であれば, 成績はほぼ天井に達するまで導くことができます。過去においても, たとえば都立西に推薦合格した生徒は4が1つ後はすべて5でした。都立国際2人目の合格者はオール5でした。都立西へ一般入試で合格した女子は5の数は5個くらいだったと思います。通っていた中学では連続90点をとっても5をくれないところでした。
 私の指導で成績をあたりまえにあげるにはただ一つ条件があります。私の指示を100%実行することです。上記の成績優秀者たちは類まれな実行力の持ち主たちです。私が課した課題をひとりとして疎かにした者ははいません。確実に実行して提出するという責任感に満ちていました。よく, 途中入会の生徒が市販の参考書やら問題集を持ち込んでやっているのを見かけましたが, その末路は悲惨でした。成績は下がる一方で何のために竹の会に来たのかわかりません。未熟な中学生の判断で選んだ参考書をやることは失敗の選択です。かつてはそういう子の中にも私のレジュメをまじめにやるようになって急に成績に目覚めたという子もいました。小学時代から竹の会の水に漬かっているいる子は竹の会のことがよくわかっていますから, そういうことはやりません。やるのは途中入会の子たちです。竹の会の中学生の大半が小学時代に入会した子たちというのもそういう事情からです。先の都立西合格者は2人とも小6の4月入会組でした。

 長くなりましたが, 来年がいい年となることを祈っています。
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