ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

WBA世界バンタム級TM ウラジミール・シドレンコvs池原信遂

2008年01月10日 | 国内試合(世界タイトル)
池原は大差判定で敗れ、王座獲得はならなかった。
王者シドレンコにとってはポイント差ほど楽な展開ではなく、
池原は健闘したとも言えるが、もっと出来ただろう、というのが
正直な思いだ。

池原は、2ラウンドにもらったパンチが効いたことにより、
ボクシングに迷いが生じてしまったという。「絶対に下がらず、
前に出て手を出し続ける」そこにしか勝機はなかったはずなのに、
思うように前へ行けなかった。というより、前には出ていたが、
そこにはシドレンコを下がらせるほどのパワーが感じられなかった。

リング中央で打ち合い、一見すると五分に戦えているようにも見える。
しかし、攻防ともに正確性では王者が一枚も二枚も上。必然的に、
ポイントはどんどんシドレンコの方に流れていく。リングの中央ではなく、
相手をロープやコーナーに押し込むくらいの勢いが必要だった。
多少見栄えが悪くとも、多少レフェリーに注意されても、シドレンコの
バランスを崩させ、疲れさせるくらいに押し込めれば・・・。

もちろん、それをさせなかったシドレンコの巧さもある。さすがに
無敗の王者だ。確かに崩しにくい選手ではある。しかし、決して
絶対に崩せない、というほどではない。


池原は試合前「負けたら引退」と考えていたようだが、今回は
少し悔いの残る負け方だったのではないだろうか。ファンが池原の
世界挑戦をもう一度見たがっているかどうかはさておき、個人的には
がむしゃらに勝ちに行けばもう少しやれたはず、という思いが強い。

2 コメント

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Unknown ()
2008-01-11 22:00:38
確かに池原には迷いを感じました。思い切りを感じず、ただ只管に頑張るという感じで。総合力では劣る訳だし完璧な思い切りが欲しかったですね、試合前もそう言われてたんだし、1Rにガーッと行ってその勢いでペースを引きずり込むとか。迷いは力の減退を産みます、脳のリミッターを外さないと火事場の馬鹿力は出ないですが、迷った時点で力の劣る池原にとっては負けが決まったんでしょう。

ただあれだけ苦しませたのはよくやりましたね、高い体力と頑張る力を感じました。シドレンコも相当苦しんでたし、勝ちは確信してただろうから精神的にはましだっただろうけど、あれでもっと採点が競ってたらやばかったかもなぁって思ってるかもしれません。池原はバンタム級では体力はかなり上のレベルでしょう。

両者のスタイルを最も現した試合だとも思います。池原は体力で苦しませるだろうが、それ以上は出来無いので敗色は濃厚だと。持ってる実力は結構出したのではと思いました、上述のようにもっと出来る可能性は感じますが、もう一度やったらもっと打ち込まれる可能性も感じます。

シドレンコは安定してますね。完全にスタイルが確立されてる。スタイルや体格や特徴などウィラポンに似た感じを受けました。実力は勿論ありますが、それ以上に安定防衛できるタイプでしょう。
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Unknown (たかお)
2008-01-11 23:19:17
bさん、コメントありがとうございます。

シドレンコを苦しめるなら、体格の差を含めた
体力をフルに活かすしかない。本人も我々も
同じ考えだったでしょう。それを充分に
出し切れなかったので、負けは仕方ないですね。

シドレンコは、崩せそうで崩せない、目立った武器が
ない代わりに、穴も少ないタイプという感じです。
長谷川だったらどう戦うんだろう・・・
そう考えると面白いですね。

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