199話)陽坡のトネリコ

 前号で、霊丘自然植物園では、ゆっくりとだけれども陽坡でも緑が回復しつつあると話しました。その主役になっているのはトネリコの一種で、図鑑で調べると、中国名は小葉白蝋樹というようです。
 小喬木だけれども、灌木状にもなる、とあります。要するに株元からどんどん分かれてブッシュ状になるわけで、多いものは200本にもなっています。樹高は5mにたっすると図鑑には書かれていますが、ここでは大きなものでも3mちょっと、胸高直径は3cmほどです。ここまで育つのに、どうも20年以上かかっているようで、ずいぶんと生育が遅いんですね。
 トネリコの材は柔軟性があって、折れにくいのです。日本では野球のバットやスキー板につかっていました。中国では伝統武術に白蝋棍というのがあって、長さ2m前後の棒をブンブン振り回したり、床に叩きつけたりしますね。ものすごく柔軟性があって、グラスファイバーのようによくしなります。そして折れることがない。
 霊丘自然植物園の小葉白蝋樹も、標本を観察している前中久行さんによると、ずいぶん材は充実していて、固いのだそうです。農具の柄などにはそのまま使えそうですが、ほかにも用途がでてくるかもしれません。
 遠くからみた前回の写真では、ほとんどなにも生えていないようにみえますが、近寄ってみると、生えているところにはけっこう生えています。ここの陽坡にはトネリコのほかにニンジンボクがみられます。
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