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1254話)夢の国の生活はラクではありません

前回の「夢の国」の三嶺村は、甘いおとぎの国ではありませんでした。北隣りの陽高県の民謡「高山高」の2番にこんな歌詞があります。

「…靠着山呀,没柴焼.十个年頭,九年旱一年澇…」。上田信さんの訳をつかわせてもらうと、「山は近くにあるけれど、煮炊きに使う柴はなし。十の年を重ねれば、九年は日照りで一年は大水…」。漢字というのはすごいですね。たった16文字でこれだけ深い意味を表せるのです。四半世紀以上、大同に通った私の実感がまさにこれです。

前回の写真に樹林のようなものは写っていません。山の上までみごとに段々畑が切り開かれています。そして草もまばら。

三嶺村の海抜は1500mほどですが、このような高所の村で植える作物は、アワ(小米)、キビ(黄米)、ジャガイモ(土豆)といったところ。水条件の悪い痩せた畑でも育つんですけど、そのぶん収穫量が少ない。

いくら少ない水でも育つといっても、年間降水量が200~250mmの旱魃の年になると、蒔いた種ほどの収穫もありません。

日常生活の苦労は水です。村に井戸はありません。谷の底の湧き水をくんでつかっています。重たい水をかついで、急な坂道を登るのはたいへんなんですね。なかでも冬はこぼれた水が凍っていてあぶないんですよ。

写真は村のなかにある狼煙台です。オオカミの糞を燃やして煙をあげ、敵の来襲などを連絡したのだそう。なぜオオカミの糞かといえば、オオカミは小動物などを毛ごと飲み込むようで、その糞の大部分は毛でなりたっています。燃やすとよく煙がでるんですね。
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