598話)三嶺村

 大同から渾源にむかう途中の峠にあるのが三嶺村です。遠方からの観光客は、この村のそばでかならずバスを停め、ちょっとうえまで戻って、写真を撮っていました。黄土高原の典型的な風景で、かっこうのフォトスポットです。

  友人の王有全が北楡林の郷長をしていたので、「あそこに駐車場をつくって、みやげもの屋を開いたらいい。国外からの観光客にとって、あそこの風景は懸空寺以上の価値があるよ」と私は話したんですけど、信じてもらえませんでした。

 地元の人たちは、自分のところの観光資源の価値はわからないようです。地元の人たちだけで観光開発を計画すると、そこのいちばん価値あるものを破壊してしまうのはそのためでしょう。私たちの立花吉茂代表の持論です。

 そのうちに、大同-渾源の道路はつけかえになり、この村を通らなくなりました。ずっと安全になり、時間もそうとうに短縮されたんですけど、この風景をみなくなったのは寂しいことです。

 村の人たちにはもっとたいへんでしょう。バスが停まると、こどもたちと老人が、シンチュウ製の馬齢や手作りの小さな飾り物をもって、「マイガバ!マイガバ!」といって売りにきました。1個が5元程度でしたが、貴重な現金収入だったはず。いまはその姿をみることもできません。
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