599話)浸食谷

 三嶺村を黄土高原の典型的な風景、というふうに紹介したのは、はげ山、段々畑、浸食谷、土づくりの窰洞、といったものがそろっていたからです。そのうえに、写真の右のほうには狼煙台があり、これはおそらく明代につくられたもの。

 アンズを成功させた渾源県呉城村は、もうちょっと東によりますが、同じような地形にあります。アンズ畑のすぐそばにも深い浸食谷がありますが、村の背後の浸食谷もそうとうに深い。

 2008年のことですが、BS朝日の番組がこの村で撮影されたとき、ナビゲーターの宍戸開さんがオープニングのところでのぞきこんだのが、この浸食谷です。どうです!深いでしょう。

 黄土高原は年間降水量が平均400mmと雨が少ないのですが、陣雨と呼ばれる雨は、狭い範囲に短時間、集中して降り、1時間70mmを超えることもめずらしくありません。すさまじいばかりの雷をともなうことも多く、それを雷陣雨と呼びます。日本でも最近「ゲリラ豪雨」と呼ぶことがありますが、ここのものこそその名にふさわしいのです。その雨が刻み込むのが、この浸食谷なのです。中国では「ゴウ」=溝と呼びます。
 
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