306話)アンズの育苗

 環境林センターで育っているアンズの苗です。ただし、写真は昨年7月に撮影したもの。この苗はことしの春、出荷済みで、いまはもう農村の現場に植えられています。この苗に沿って、話をすすめます。

 種を蒔いたのは2006年秋です。発芽するのは、2007年の5月。ザンネンなことに、私は毎年4月末に帰国しますので、発芽のようすをみたことがありません。アンズの生育はたいへん速いのです。2007年の秋までに生育のいいものは、1mをゆうに超します。

 2008年の4月中・下旬、その苗を地表から5cmくらいのところで、カットしてしまいます。そして、優良品種の枝を、そこに接ぎ木するのです。種から育てた苗を、実生苗といいます。それが育ったものが、この地方の農村にはけっこうあり、土杏と呼んでいます。たいてい実は小さい。でも、なかには味も香りもとてもいいものがあります。ですから、何万本もの実生苗のなかには、いいものが存在する可能性があります。

 でも、いまアンズの栽培は、商品生産のためです。たまにいいものがあったとしても、それじゃあ、だめなんですね。商品になるためには、品質がそろっていないといけない。そのために接ぎ木をします。根っこは遺伝子的に多様ですけど、地上部はクローンなのです。

 2008年5月、接ぎ木したものの芽が伸びはじめます。そして、7月にはこれくらいになり、秋までに大きなものは1.5m近くに伸びるんですよ。どうです、速いでしょ。そして、2009年の春には出荷が終わります。
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