307話)整地作業

 大同での植樹の適期は春、3月末から4月中旬にかけてです。植えるのはそのときですが、いちばんたいせつな作業は、いまごろからはじまっています。なにかといえば、整地作業。

 一般的なやり方は水平溝方式で、等高線に沿って、3m間隔に、幅40cm、深さ30cmほどの溝を掘り(半分は埋めもどす)、その土で溝の下手に土手をつくります。その溝の底に、翌春、マツの苗を植えます。以前は小さな苗を1m間隔に植えていましたので、1haあたり3300本。日本でいう坪植えです。

 いまごろはちょうど雨期です。もし斜面のままだったら、大雨が降ると、濁流になって、斜面を駆け下り、土を流してしまいます。このような整地がしてあると、降った雨は溝に集まって、地中に浸透します。
立秋(8月8日前後)をすぎると、気温が低下するので、蒸発量が抑えられます。そして10月になると、最低気温は氷点下になり、水分は凍結して、翌春まで貯蔵されるわけです。

 苗を植えるころになると、地温も上昇し、凍結水が融けて、それが苗を育てるわけですね。「春の雨は油より貴重だ」といわれるくらい、春は雨が少ないのですが、前年の雨期に降った雨を利用して緑化をすすめているわけですね。草の根のすばらしい技術だと思います。
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