1190話)あれっ、いい香りが……。

順を追って書いていくだけでは私も飽きてしまいますし、みなさんも退屈でしょうから、ここで南天門自然植物園の初期にあった失敗談を書いておきましょう。

土地の確保、アクセス道の設置などさまざまな準備をすすめる一方で、すぐに育苗ができるよう種子の確保もはじめたのです。李向東さんをはじめスタッフたちは、あの碣寺山の自然林まで、ナラなどの種子を集めに通ってくれました。

最初はたいへんなんですね。熟する時期がわかりません。未熟では発芽率が悪いし、地面に落ちると動物に食べられるし、乾燥するとまた発芽率が下がります。私たちの脚では片道4~5時間もかかるところに何度も通ってドングリを200kgも集めてくれたのです。

このての種子は乾燥しないようビニール袋にいれて、冷暗所に保存するのがいいそう。大同市南郊区の私たちの拠点・環境林センターには地下室があるので、リスク分散のため半分はそこに貯蔵することにしました。

その年の12月、その地下室にいき、ドングリの状態を確かめたのですよ。二重にしたポリ袋の口を開けたら、プ~ンといい香りがするんです。アルコール発酵しちゃったんですね。その年の秋はなかなか気温が下がらなかったのだそう。

これにかぎらず思うんですけど、乾燥地の植物って強いですねえ。その種を春になって苗圃に蒔いたところ、半分以上が発芽したのです。

写真は南天門自然植物園のナラのドングリです。ここでさまざまな樹種のシードソースを確保できましたので、苦労して遠くまでいく必要がありません。
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