1296話)苑西庄村再訪(3)

井戸のすぐ近くの家には何度も泊めてもらいました。お嫁さんが貴州省からきた彝(イ)族の人で、丸顔でクリクリ眼。どうしてこんな結婚が成り立ったかきくと、大同は石炭の街で、南方からもたくさんの人が働きにきていて、人のルートができていたようです。

そのお嫁さん、自分一人では寂しかったのでしょう。つぎつぎに自分の村の娘を紹介して、この村の人と結婚させたのです。おかげでなんと、この村には電気炊飯器のある家が増えました。南方の人はお米を食べないとだめなんですね。ここの地方では米はもちろん麦もとれないのですけど。

この家には姉と弟のきょうだいがいます。それがとてもかわいいのです。明眸皓歯なんて、この子らのための言葉かと思うくらい。

レンガ塀に囲まれた前庭が広くて、そこでさまざまな野菜を栽培していました。井戸で水が使えるようになっても、すぐに豊かにはなりませんけど、どの家でも菜園をやりはじめました。それが見た目の最初の大きな変化でした。

でも、この日は門が固く閉じられています。通りかかった人にきくと、その家のお嫁さんは、村の入り口近くの新しい家で、きっとマージャンをしているだろうというのです。

その部屋に飛び込みました。いきなり人がきて、そのあとにビデオカメラまでついていますので、先方はびっくりしたでしょう。

いました! どうしてもききたかったことがあったのです。弟のほうが目の近くをケガしたんですね。失明の危険があるというので、北京の病院まで何度か通ったことがあります。でも、目はよくなったそう。よかった!

卓を囲んでいた一人が以前の村の会計さんで、私たちが訪れるたびに食事をつくってくれた人でした。その人が私を彼の家に引っ張っていったのです。文字通り手を引っぱって。
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