1315話)阪神大震災とボランティア(6)

だいたいは芦屋までだったんですけど、ときには足を伸ばして神戸までいきました。大きなビルが倒壊したり、高速道路が崩れ落ちたり、ひどいものでした。

現場では気にならないのですが、自宅に帰り着くと、頭が痛くなります。まるで船酔い、車酔いになったようです。まっすぐ建っているべきビルがそうでなかったり、道路が傾いたりしているところで活動していると乗り物酔いになります。

そして、えらく涙もろくなっていました。悲しい場面、つらい場面にであって泣くことはないのに、なにかいい場面にであって感動すると、涙ぐんでしまう。

芦屋の救援隊にいるとき、だれかが私の名前を呼んだのをきいて、学生風の男が「高見さんって、この高見さんですか?」と声をかけてきました。差し出されたのは、私が送ったファックスで、コピーを繰り返されたのか、ずいぶんかすれています。

私がずっと以前の学生運動なかまに送ったものが、まわりまわって、彼のお父さんに届いたそう。そのお父さんは運動のずっと先輩でしたけど。暗くなった帰り道をたどりながら、「ああ、もうジュニアの時代になったんだ」と思って、涙でぐちゃぐちゃになったんですよ。

1995年から大同に通ったカメラマンの橋本紘二さんが、彼の写真集のあとがきに、私のことを「涙もろい中年」と書いています。そういえば最近、感動するってことがないですよねえ。そういう機会がなくなってきたのか、歳のせいで感性がにぶってきたのか。
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