1312話)阪神大震災とボランティア(3)

自宅への道をたどると、さる企業の女子寮のまえに人だかりがしています。2階建て木造家屋の1階部分がひしゃげて、なかに人が閉じ込められているとのこと。居合わせた人たちと救出活動をはじめました。

もとは2階だったところの窓からはいり、廊下の床を破って下の階に降りようとするんですけど、2階の床と1階の天井とのあいだに、ガスや水道のパイプが通っていて、なかなかすすめません。

そのあいだも余震がつづきますし、大破した建物のなかです。危険を感じたらとにかく逃げようね、二次遭難は恥なんだから、と声をかけあいました。

一人目は重傷でしたが意識があり、「同じ部屋にもうひとりいます」としっかり話してくれました。横倒しになった柱の下に二人目をさがしあてたときは、残念なことに冷たくなっていました。それでも早く掘り出してあげたかったのです。

家に帰ると昼前のラジオが地震のことを伝えていました。犠牲者数も、倒壊家屋の数も、とんでもなく少ないのです。被害が大きく地域が広いほど連絡がつかなくなり、報道も機能しなくなる。報道にたよる行政の対応も遅れてしまう。

この晩だけは飲まないで寝ようと思いました。ところがふだん使わない筋肉を使ったものですから、うずいて眠れない。台所をさがすと、酒のビンはすべて割れているんですけど、油にまみれた紙パックの料理酒がみつかりました。一口だけのつもりが、止まらないのですね。

わが家の惨状の写真を載せておきましょう。倒れるものはすべて倒れ、割れるものはすべて割れ、と話してきたのですが、それが誇張ではありません。

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