318話)枯れたニレ

 私たち人間も、ひどく疲れたり、弱ったりしているときに、病気になりやすいものです。インフルエンザが流行しても、健康であれば、かかりにくいといえるでしょう。それは植物も同じです。

 たとえば、幹に虫がはいろうとしても、ヤニをだして身を守るのがふつうです。葉をかじられても、すぐに新しい葉をだして、そんなに弱ることはありません。ところが、なんらかの原因で、植物が弱っているときに、虫がとりつくと、致命的な打撃になって、枯れることがあります。

 私たちの環境林センターの南のすみで、シダレニレ(垂楡)に枯れるものがでていました。このすぐ南側が、新しく建設される道路にかかることになり、この春、あわててこのニレを移植しました。たくさんの根を切るわけで、人間でいえば大手術です。

 そのうえ深刻な旱魃で水がありません。ここは苗圃の端っこなので、水をやるのもたいへんなのです。そうやって弱っているところに、毛虫が発生しました。殺虫剤をかけたようですが、まにあいませんでした。それから幹にとりつく虫も発生したようです。樹皮の下に、虫が入り込んだ形跡があり、皮がはがれています。こうなると、満身創痍ですね。枯れるしかなかったようです。でも、ご安心ください。枯れているものは、ほんの一部です。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 317話)虫の害 319話)ボタン... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。