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108)風砂に鶴

 最新の大同の地図に「桑干河自然保護区」の表示があります。いつも渡る固定橋のすぐ上流。行ってみようと誘うと、地元のメンバーがせせら笑います。どうせ名前だけだ、といって。
 鉄条網で囲まれた一角になにもありません。桑干河の河川敷もわずかな灌木だけ。大きな看板のかすれた文字の最後が「…開発区」と読めます。地元メンバーは勝ち誇った表情をみせました。
 あきらめて車を発進させてしばらく。運転手の小郭がなにごとか叫び、車を止めて右前方を指さします。大型の水鳥が40羽ほど。ツルです。桑干河の護岸の南側が湿地になっていて、そこに下り立っています。カモやガンも。
 桑干河の本流はほとんど水がありません。それも純度百パーセントのまっ黒な汚水で、橋の上まで刺激臭があります。それなのにこの湿地の水はきれいです。
車を降りて写真を撮ろうとして小郭に止められました。でも車窓からでは3百ミリの望遠でも物足りない。そーっとドアをあけ、外にでた瞬間、ツルは羽音を立てていっせいに飛び立ちました。人間への警戒心は日本の水鳥とは大ちがいです。あわててシャッターを切りました。風砂のなかのことですのでなにもかも霞んでいます。バードウオッチが趣味の友人に写真をみせると、クロヅル(黒鶴)とのことです。
 数年ぶりのひどい風砂のなかでみたツルは、とても貴い自然の贈り物に思えました。
 (2006年6月25日号)
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