168)水が出ました!

 四川省の大地震。自然災害が貧しい地方の貧しい人びとを狙い撃ちすることに心が痛みます。
 あえて明るい話題。大同県遇駕山村は水不足に長年苦しんできました。8年前の私たちの調査では1人1日の水使用量は15・6リットル、7県21村の平均23・8リットルを下回り、最低でした。季節によっては、飲み水を得るために隣村まで貰い水に通います。
 井戸掘りはこれまで何度か頓挫しています。このたびは日本の外務省草の根無償資金の協力をえました。私たちも紹介の労をとりました。最初はまた失敗です。水脈は地下130メートルですけど、100メートルで進退きわまりました。日本大使館との契約で、水がでるまで掘るという誓約書をいれた武春珍さんは、夜も眠れなくなったそう。
 そこからが彼女の本領です。関係者を集め、少しずつ協力を取り付けて再挑戦しました。今度は本格的なボーリングによるもの。1月に水脈に達しましたが、冬の寒さで出水には至りませんでした。
 この4月、日本からのボランティアやテレビ取材も参加して通水式を催しました。出ました! 村中の人が井戸を取り囲み、バケツやコップで水を受けて回し飲みします。生水は絶対に飲まないと決めている私も、このときばかりはそうもいきません。笑顔、笑顔、笑顔。エンドレスのような踊りの輪。それがだんだんと泣きっ面に変わります。ほんとにうれしいときも、人は泣くようです。
 【写真】苦労の末に水が出ました!村中の人が井戸の周りに集まって、水を回し飲みしました。
 (2008年6月15日号)
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