030) 良性の循環へ

この8月、日本大使館主催のプレスエクスカーションで、中国と日本の記者がアンズの里・呉城郷を訪れました。村の人たちは自信たっぷりに紹介しました。アンズを栽培するようになって、面積あたりの収入が5~10倍に増え、1人あたり年収も以前の3百元から8百元に増えた、と。
 改善されたのは、お金だけではありません。となりの木と枝が重なるようになれば、夏の雨が地面をたたくこともありません。アンズ畑は耕して土を砕く必要がないから、その面でも土壌浸食が軽減されます。
 いい実をならせるために、毎年、枝を剪定します。切った枝が燃料になります。これまでは村の周囲の灌木や草を採ってきては燃やしていました。それがなくなれば、植生の回復にプラスになります。アワやキビのわら、トウモロコシの茎なんかも、堆肥にして畑にもどすことができます。雨のたびにやせていた「三逃の地」が、悪循環を抜け出し、わずかずつでも肥えていくんですね。良性の循環に変わっていくわけです。
 さらに大きな変化は、人びとに積極性がでてきたことでしょう。花の時期には「杏花節」と名付けて、観光客まで呼んでいるんですよ。そして自分たちで袋詰めした「杏仁」を売る。
 呉城郷の変貌ぶりはテレビや新聞でくりかえし報道され、「退耕還林」のモデルとして注目されるようになりました。そういう役割も小さくないでしょうね。
  (2003年12月5日号)
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