010)消えゆく村

 私たちのプロジェクト「カササギの森」のさらに奥に村がありました。崩れかけた窰洞(ヤオドン)が並び、廃墟のようです。近づいてみると人影がありました。
 老人に話をききました。村の名は馬脊梁。若い人はみな村をでて、残っているのは老人ばかり20?30人。この夏には村ごと移転することが決まっているそうです。
 この村もそうですが、およそ人が住むべきでないと思える山地や丘陵に、たくさんの村があります。それが環境破壊につながりますし、道路をつくったり、電気を引いたり、コストの負担も大きいでしょう。
 大同市は、200人未満の村の移転を決めたようです。該当する2247の村を実地調査し、住民の意見をきいて、235の村の移転・併合を決めました。「大を以て小を引き、富を以て窮を帯する」のが原則だそうです。近くの比較的大きな村に吸収合併するわけですね。
 環境破壊と貧困の悪循環を断ち切るための現実的方策だと私も思います。しかし、それには双方の住民の同意が必要でしょう。
 馬脊梁村が移るのは聚楽村。住宅が準備され、1人あたり1畝=6.7aの耕地が分配されます。水と土の条件がいいので、最低限の食糧は得られるといいます。
 でも、その老人は「もうヒツジを飼えなくなる」といって寂しそうでした。年老いて新しい土地で新しい暮らしを立てることに、不安が大きいのでしょう。
  【写真】移転を迫られる辺境の村。とくに老人は父祖の地を離れたくない。
 (2003年4月25日号)
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