190話)モンゴリナラ(蒙櫟)

 大同市最南部の霊丘県南山区で、最初に自然林をみたのは1998年夏でした。落葉広葉樹の林で、なかでも多かったのがリョウトウナラ(遼東櫟)。中国の東北地方から黄河流域にかけて、広く分布しているそう。霊丘県上寨鎮で建設をはじめた自然植物園でも、主体になっているのはこの木です。
 近いなかまにモンゴリナラ(蒙櫟)があります。リョウトウナラは樹高15mまでですが、モンゴリナラは30mまで育ち、胸高直径は60cmになるそう。となると、これがほしいですね。でも、しろうとの私には、図鑑をみても見分けがつきません。
 河北省の野三坡自然保護区を訪れたとき、「蒙櫟」の表示のある一群を見つけました。学名も併記してあります。簡単な見分け方として、リョウトウナラの葉脈は5~7対、モンゴリナラのそれは7~15対(8~15対の説も)ときいていました。なるほど、ここのものは葉脈が多い。ドングリがたくさん落ちていたので、植物園に持ち帰って、育苗してもらいました。
 9月初旬から、日本の専門家が霊丘を訪れました。生育量調査のため、リョウトウナラを数本伐りました。幹、枝、葉に分けて重量を測るため、葉をもいでいるときに、ふと気づきました。うち1本の葉脈の数が多いのです。だとしたら、これはモンゴリナラ!
 植物をさがして、なかなか見つからないとき、1本みつかると、つぎつぎにみつかるものです。周囲に数多くのモンゴリナラがありました。あこがれの木が、足元にあったのです。
 管理棟の下の苗畑にスラッとしたナラがあります。1999年にはじめて育苗をはじめたときの1本で、ほかの苗は山にあげたのに、これだけ残されました。もう5m以上にそだっています。ここのシンボルツリーになるかもしれません。じつはこれもモンゴリナラでした。リョウトウナラにくらべ、育ちがいいようです。この種を採取した霊丘の自然林にモンゴリナラがあるのは確実です。
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