191話)太行山の水、北京へ

 水不足が深刻な北京を救うために、河北省の水が送られることになりました。9月18日、石家荘市にある黄壁庄ダムの水門が開かれ、放水がはじまりました。ここから307.5kmのオープン水路を流れ、北京の頤和園にある団城湖に9月28日に到着する予定だそう。
 水を送るのは、黄壁庄ダムと、その上流にある崗南ダム、保定市にある王快ダムの3つ。いずれも河北省と山西省の境界にある太行山脈の河北省側のふもとにあります。従来の計画ではこれに西大洋ダムを加えて4つでしたが、なぜか3つになりました。
 2009年3月10日までの174日間に、合計で3億立方mの水を送るそうですが、長距離輸送のため、北京で使えるのは2.25億立方mほどになるよう。
 もともと南水北調の最終区間として計画されたため、中国の報道のなかにも「南部の豊かな水を……」といったマクラをつけているものもありますが、実際はこの地方の水不足は北京以上に深刻です。もともとは南の水がくるはずだったのに、一時的にせよ、北京に水を送る話に変わってしまった。そのために灌漑に水を使えなくなるなど、河北省側の負担は軽くないのです。
 そんな事情もあって、北京にとっては慶事であるにもかかわらず、扱いは地味で、中央テレビのニュースも45秒ほどだったよう。知らない人も多いようです。
 工事自体は2007年末までに完成しており、オリンピック前の4月から供水開始といった発表が繰り返されていましたが、実際はオリンピック後になりました。
 写真は水を送る水路のようすで、インターネットからとりました。
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