087)農村の結婚式(1)

 花束で飾りたてた自動車から花婿と花嫁が降り立ちました。花婿は三つ揃えのスーツに派手な赤のネクタイ。花嫁は赤い上着に赤いズボン、靴下も靴も赤、そのうえに赤いレースのベール。
 花婿が花嫁を抱きかかえます。家につくまでに地面に下ろしたら破談になって、花嫁は逃げ帰るのだそう。重量級の女性ならたいへんですけど、このたびの花嫁は小柄。でも、つぎつぎに難関が待ち構えます。
 門をはいろうとしたら、たくさんの爆竹に点火されました。火薬のはぜる音ともうもうたる煙。数分間、そこで立ち往生です。花婿の顔に汗が吹き出しました。
 それが終わったと思ったら、花婿の悪友3~4人が前に立ちふさがって通しません。クタクタになった花婿は花嫁を下ろしてしまいました。悪友たちは「こうやったらいいぞ」といって稲束でも肩にかつぐポーズ。いやがっていた花嫁もしかたなく同意しました。ちょっとみっともないね。
 各部屋のオンドルも土間の円卓も招待客で満杯です。庭にテントが張られ、そこもギュウギュウ。百人はゆうに超してる。
 新郎新婦が落ち着くのを待って玄関先の行事がはじまりました。客のなかに紛れ込んでいる新しい両親を花嫁が探し出し、椅子に座らせ、その前で叩頭しました。薄い敷物のうえに跪き、頭を地面に押しつけます。そこで激しい花火。爆竹と花火は吉凶の儀式に欠かせません。
 (2005年10月15日号)
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