シー・マスト・ダイ (ガガガ文庫) | |
クリエーター情報なし | |
小学館 |
「シー・マスト・ダイ」石川あまね
サイコキネシス・テレパス・プレコグ……超能力者が一般的な存在になり、自衛隊には超能力部隊までできている未来の日本。港区第二十二中学校の理科室で理科実験をしていた矢口誠たちの目の前で、いきなり窓ガラスが破れ、完全武装の特殊部隊が突入してきた。
「全員動くな」突如向けられた銃口に動揺する誠たち。兵士の言葉を無視した男子の一人が逃走を試みるも、容赦なく射殺される。
どこの所属とも知れない、目的もわからない兵士たちに軟禁された生徒たちの、命を賭けた戦いが始まった……。
うわー、惜しい。本当に惜しい。題材は文句なく面白いし、話自体も面白いほうだと思うのだけど、なんというか、書きこみが足りない。もっと分量を多く、各生徒たちの描写を視点を深くすれば、もっと全然面白くなったはず。
主人公の、無能力者・矢口誠。
ヒロインの、テレパス志水はるか。
不良の、サイキッカー北島良平。
出自不明の特殊部隊指揮官と予知能力者。
この5視点しかなくて、他の生徒はほぼモブ。どんどこ殺されるし、抵抗のての字もない。せっかくの理科室なのに、手近の道具をまったく使わない。あ、正確には一度だけ使った。でもそれは、理科室じゃなくてもどこにでもあるものだった。理科室である必然性はまったくなかった。
使えよ! 考えろよ!
と、何度読みながらつっこんだことかしれない。
いやまじで。もうちょっとね、工夫をしてほしかった。せっかくいい舞台が整ってるのになあ。サイキックバトルロワイアルができたんだぜ? これは編集の責任だな。ライトノベル大賞優秀賞らしいけども、そのまま出させるわけないだろうし、手が入ってるはず。それでこれはない。
あとはまあ、超能力描写が中二的だった。レイガン(幽白)みたいな直接的能力出されると、正直萎えます。だってさー、超能力って、常人には理解できない力の働きなんだぜ? それをどうやって認識させるかがもっとも大事なところでしょ。話の肝でしょ。それをあなた……レイガンって……。北島の恋人の蔦の能力はちょっと良かったけどねえ。
キャラクターでいうと、北島が一番良かった。ここまで憎みやすい悪人というのもなかないない。NTRフリークな僕としては、はるかとのあのシーンでほんほんさせていただきました。だって、あれ、完全に脱げてますよ?
オチは、うーん、まあ賛否両論だろうけど、ありだとは思った。無茶だけどそこが面白かった。色々言ったけど、おすすめです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます