![]() | げんしけん 二代目の参(12) (アフタヌーンKC) |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
「げんしけん 二代目の参(12)」木尾士目
げんしけんメンバーが代替わりし、笹原らがほんのちょい役でしか出て来なくなって多少の違和感を感じていたものの、波戸・吉武・矢島ら新規の女子メンバーがそれぞれの個性を発揮して、2代目らしい新たな方向性での(主に腐女子的な)面白さを発揮している現在、楽しめてはいるけれど、どうしてか寂しさのほうが先だっている僕です。
僕が大学時代に所属していたオタク系のTRPGサークルは、今は存在自体もなくなって、年2回の飲み会以外では会わない仲となりました。TRPGならセッションとかすればいいじゃんって話もあるし、実際に何割かのメンバーは今も継続してセッションしているらしいのですが、なんせ僕自身が不定休で、土日祝祭日がほとんど仕事をしているため、なかなかどうして参加することができません。セッションといえば基本はキャンペーンだし、そうなると、多数の人の日程に合わせた参加スケジュールになるのが必然ですからしょうがないんですけど、そう理性ではわかっていても、感情部分ではなんとも納得しかねる部分があります。ぶっちゃけていえば切ないです。
今回は、斑目先輩があまりのげんしけんの変わり様にショックを受け、げんしけん離れをしようと心を揺らすシーンが胸を打ちました。もともと大学に近いからという理由だけで現職を選んだくらいのげんしけん好きな人が、です。実際には、仕事がうまくいってないとか様々な理由があるんだとは思うんですが、いざ自分の同級や直近の後輩が卒業し、サークルに顔を出しても新規の腐女子しかいないとなると、男オタ同士でなら話せたあれやこれやを封印せざるを得ず、それがきっかけで、いくら愛着のあるサークルだとはいえ、いつまでもそこにこだわっているわけにもいかないということにいまさらながらに気付かされたというわけです。
まあほんと今さらなんですけど、この気持ち、僕にはよくわかるんです。僕も、大学時代に所属していたサークルが好きでした。大学生特有のモラトリアムな生活や、自分の好きなことを好きなだけ声高らかに語っていられる環境が大好きでした。できればずっとそこにいたいと思ってました。でも、もしそうしていたらどうなっていただろうかと思います。心地よい環境や人間関係が僕を腐らせ、あとから入ってくる後輩たちの勢いに押されて居場所をなくしていたのではないだろうか。職に関してはいわずもがなで、つまりは斑目先輩の立場は僕にとっては他人事ではないのです。好きだっただけに、その変貌にショックを受けるのです。
本巻は、吉武さんの身内の印象的な登場や、波戸くん(さん)を狙う男の存在、矢島さんの乙女の恥じらい、いままでのげんしけんになかった恋話(ちょっと微妙な)の展開など、見どころはたくさんあるのですが、僕には斑目先輩の姿が目に焼き付いて離れませんでした。いま現役でその手のサークルに所属している人、もう卒業して疎遠になった人、いまも交流がある人、様々な人がいるでしょうが、多くの人が共感できる内容だったのではないでしょうか。
でも……ね。
どんな形であれ、距離や年月をおいたって、仲間は仲間なんです。顔さえ合わせれば昔のように話が弾む。あの日あの時と同じ空間が、魔法のように現出するんです。ソースは僕。
斑目先輩のこのパートは、たぶんそうやって解決を見るんじゃないかな? そう思います。
ちなみに僕も、今度の夏の飲み会でみんなに会ったら、ゲストでもいいのでセッションに参加させてくれるようにお願いしようかと思っています。
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