はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

配達あかずきん

2008-05-03 00:32:43 | マンガ
配達あかずきん (WINGS COMICS 成風堂書店事件メモ 1)
久世 番子,大崎 梢
新書館

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 ねえあなた本屋さんでしょ。欲しい本があるんだけど、タイトルも書いた人も内容もわからないんだけどわかるかしら?

「配達あかずきん」原作:大崎梢 画・久世番子

 成風堂書店勤務の杏子さんは、仕事てきぱき性格しっかり、本を溺愛する理想の店員さんだ。仕事柄、また趣味の上でも多岐に渡るジャンルの書籍に精通していて、検索を頼めばどんなにアバウトな検索でもたちどころに見つけ出す。それはたとえば上記のような「おい待てふざけんな」なお客の要望であっても……。
 一方多絵ちゃんはとてもかわいらしい容貌をしているのだけど、いささか天然さんの気があり、また非常に不器用で本の袋詰めもコーナー組みも満足にできない。でも本に対する愛情は杏子さんに負けないし、ある種の推理能力を備えていて、本と本に関わるお客さんにまつわる謎をいくつも解明してきた。
 そんな2人が挑むのは、死にかけの老人が出した暗号や、20年前に轢き逃げ事故にあった1人息子の謎など、魅力的な引き込みのある6つの事件。
 本屋さんやお客さんたちはもちろん、大崎梢の原作をもとに描いた久世番子自身、本屋に関する漫画を出しているくらいの本好きだから、話のそこかしこにあふれる愛が気持ちいい。謎解きもいかにも本屋という感じのアプローチばかりで目新しく、なかなかに楽しませてもらった。

 僕自身は本の販売を経験したことはわずかにしかないのだけど、某大手チェーン店TでCDとゲームの担当をしていた頃は、けっこう無茶な検索依頼がきたものだった。本当に「おい待てふざけんな」というヒントしか出さないお客さんも多く、でもその要望に応えきりお客さんに感謝されたときの満足感には、えもいわれぬものがあった。自分の職域で十全に力を発揮できた時の感動はいいものだ。当時のことを思い出して懐かしい気持ちにさせてもらった。

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