はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

化物語(上)

2009-12-19 10:18:39 | 小説
化物語(上) (講談社BOX)
西尾 維新
講談社

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「化物語(上)」西尾維新

 ある春の日に吸血鬼と出会って以来、平凡な高校生・阿良々木暦(あららぎこよみ)の周りには騒動が絶えない。自身の吸血鬼化問題こそ謎の霊能力者・忍野のおかげで解決したものの、体重が軽すぎる戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはらひたぎ)、いつまで経っても家に帰れない八九時真宵(はちくじまよい)、猿の手を持つ神原駿河(かんばるするが)などという一癖も二癖もある美少女たちの、これまた強烈な悩みに遭遇してしまう。超がつくほどのお人好しの暦は、文字通り体を張って、彼女たちの悩みのもとを絶とうと試みるのだが……。

 シャフトによるアニメ化が最高の出来だった同作品の、こっちが原作。原作とほとんど変わらないアニメ化のくせに失敗しなかったのは、ひとえに本作品の特徴による。
 基本暦と女の子の漫才で話が進む。アクションシーンの描写は下手だがイメージが鮮烈である。この2点。
「クビキリサイクル」で出会い別れた西尾作品は、相変わらず衒学的で、ぐだぐだぐだぐだひとつのことを繰り返し描写する癖が抜けていない。一方で、ボケとツッコミはかなり上達していた。むちゃくちゃな女の子たちへの暦の必死のツッコミには、かなり共感できるものがある。アクションシーン自体はそんなにないのだが、後半に待ちかまえる暦とあのキャラとの死闘(一方的にやられていただけだが)は、何をやっいてるのかが非常にわかりにくかった。
 0か100しかない尖ったキャラ造形は、今回に関しては悪くなかった。恋人ひたぎのツンぶりや、おませな八九寺、体育会系の神原、ザ・委員長な羽川など、いちいち掛け合いが面白かった。次巻も当然の買いだ。