はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

光速シスター(1)

2009-12-21 08:20:57 | マンガ
光速シスター 1 (ビッグコミックス)
星里 もちる
小学館

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「光速シスター(1)」星里もちる

 衛星放送チャンネルTERAの営業・三谷は、ドラマが大好き。古今東西のドラマを見倒し、最終的にはドラマを制作したいという野望があったが、あいにくと夢は叶わず、でも大好きなドラマに間接的ながらも携われる仕事につけて、小規模な満足を得ていた。
 ある日、いつものように趣味のドラマのロケ地巡礼をしていた三谷は、廃線となった鉄道の駅舎で、謎の光球に衝突。死亡寸前まで追い込まれる。
 次に三谷が気がついたのは、自宅のベッドの上だった。事件の日のことを一切忘れ、ぼんやりと部屋を見回す彼の目に飛び込んできたのは、バレッタにエプロン姿のかわいい女の子。
「誰? おまえー」
 口に出しかけた疑問は、すぐに氷解する。そうだ。こいつはハナ。妹だった。料理が苦手で、一般常識に疎くて、兄貴にいつもべったりな、困った妹。そう、そのはずだ……。
 かすかな違和感を感じつつも、三谷はいつもどおりの日々に舞い戻る。同僚の松木と交わす軽口や、総務の北川さんとのデートでのどきどき。毎日会社までついてくるハナには閉口させられるけど、なんてことない、これも平凡な日常の1ページ……ほんとにそうか? 俺は何か、大切なことを忘れてるんじゃないか?

「りびんぐゲーム」他ハートフルな良作を連発する星里もちる最新作は、兄に恋する妹物。キスや入浴といったお約束シーンは当然外さず、プラスアルファでSF要素が絡んでくる。何故ハナは三谷にべったりなのか、どうしてそういう「設定」なのか、そして、ハナが実の妹でないと知った三谷の動揺は……。
 なんだかすごく切ない気持ちに浸らされた。もうちょっと、謎の妹期間を延ばしてほしかった気がする。だって、最後に悲しい結末が待つのはわかりきっていることだから。シリアス成分は、もう少しあとでもよかった。星里らしく、きっかりハッピーエンドにしてくれるのならいいけど、いやあ、この展開ではさすがに無理じゃないか……?