それでも町は廻っている 6 (ヤングキングコミックス)石黒 正数少年画報社このアイテムの詳細を見る |
「それでも町は廻っている(6)」石黒正数
メイド喫茶シーサイドでバイトする脳天気女子高生・歩鳥と愉快な仲間たちの日常を描く通称「それ町」第6巻。
「フリーマーケットで歩鳥とキス」
不幸にも歩鳥を恋する真田くんが、フリマに出店した歩鳥を手伝う無駄な努力の話。歩鳥が商店街のジジババから人気な理由がわかった気がする。あれだね、歩鳥は共有の孫娘なのだ。
「ざっくばらん」
行きつけの床屋で起こったあまりにも衝撃的な事故。
前々から思っていた通り、歩鳥はショートカットがよく似合う。運動部の女子高生みたいで、非常に幼く可愛らしく見えた。
ところで高校生が居酒屋で中学時代の同窓会をするってのはどうなんだ? 絶対飲むだろおまえら。
「逢えない2人」
歩鳥の弟とは思えぬほど利発で礼儀正しい小学生・タケルが風邪をひいて寝込んでいるところに、クラスメイトの伊勢崎さんが見舞いに来た。つき合っている、というほどではないけど時々みんなには内緒で遊んだりしている2人の絶妙な距離感が素敵。子供服のモデルになったことを褒めてほしがる伊勢崎さんが○。
「タイムカプセル」
シーサイドの店長・ウキさんに頼まれ、押入れからコタツを出していた歩鳥とメガネ女子のタッツンは、昔店内に置いていた占いマシンを発掘する。試しにやってみる2人とウキさん。しかし開ければ開けるほど出てくるのは珍妙な占いばかりで……。
珍しくしんみりした話。こういう死者との対話は初めて見た。
「ヒーローショー」
クラスではニンジャと呼ばれていたりするお転婆な妹・ユキコは「鬼面ライガーしぐれ」が大好き。とくに主人公のライバルで、事あるごとに戦いを挑んでくるオメガのファン。
ある日歩鳥に連れられていった「鬼面ライガーしぐれ」のヒーローショーで、当然のようにユキコはオメガの応援をするのだが……。
オメガかわいそう。
「歩鳥初体験」
もんじゃ焼きを食べたことがないというタッツンの発言から始まる様々な人の回想。たぬきのジョセフィーヌ、警官の松田、タッツン&針原さん、それぞれの歩鳥との出会いが描かれる。
「紺先輩の静かな怒り」
個人的に大好きな紺先輩の、唯一の見せ場。ある夏の日に、歩鳥の蛮行にキレた彼女の復讐劇。
「まぼろしの少年」
母の実家・北陸の旧家・綾鳥家に遊びに来た歩鳥。白いワンピースに麦わら帽子なんてお嬢な格好で、いとこの真琴ちゃんと遊び歩くのだが、些細なミスから町の水路を詰まらせてしまい……。
今回はとくに粒ぞろいに面白かったが、タケル×伊勢崎さんが好きな僕としては、「逢えない2人」がフェイバリット。小学生同士の、恋愛とすらいえないような曖昧な関係性が良いのだ。ふわふわと切なく甘酸っぱい2人の行く末が楽しみ。このままうまくいってもいかなくても、将来的にはとてもおいしい話のタネになること請け合いで、でもやっぱりうまくいってほしいなあ、と思う。歩鳥がジジババの孫娘なら、タケルは読者の弟だから。